1 通信士定員改定交渉
昭和42年春の労働協約改定交渉で,継続交渉により解決することで合意された全日本海員組合と外航2船主団体との通信士定員改定問題は,42年5月第1回交渉を行ない,同年12月7日の第22回交渉を以て円満妥結をみた。
交渉経過は,10月までの交渉では,船主側の主張する全船1直1名の主張に対し,組合は1直1名を全面的に否定し,3直3名の原則論で対立した。その後組合は10月の組合大会の決定にしたがい,1直1名を否定するとともに,全船3直3名にこだわらないとして柔軟な戦術に転換したが,交渉は3名船の範囲,2名船,1名船の範囲をきめようとする組合の考え方と,3名船は絶対に残さないとする船主の考え方とが対立したまま10月末となつた。
11月以降の交渉で組合は,3直船は全廃するかわりに,2名船の有効期限を3年間とする新提案を行ない,あわせて新方針に対する組合員の支持をもとめる一般投票を開始した。このため交渉は一時中断となり,船主側は就業規則の改正手続をすすめたが,組合の新方針は僅差で多数の賛成を得たので,11月30日交渉を再開し,ほぼ組合最終提案である現3名船を2名船とし,有効期限を3年とすることで妥結した。なお,「有効期限3年」については「3年後に1直1名に移行することを予め約束したものでない」という議事録事項が添付されている。これで昭和38年の電波法及び船舶職員法の改正以来懸案となつていた通信士定員問題は一とまず小康状態を保つことになつた。
この新通信士定員協定により余剰となる通信士数は約700名であるが,この取り扱いについても,2か月以上の長期予備はさせないこと,2級通信士には必要な講習を行なうことといつた雇用安定条項,2名通信士の就労体制その他の事項が協定された。
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