2 昭和42年度の港湾整備状況
昭和42年度港湾整備事業は港湾整備5カ年計画(40〜44年度)の第3年度として実施された。投資額は港湾基本施設整備関係の事業費1,054億円,機能施設整備事業費136億円,合計1,190億円とそれぞれ対前増加率19.0%,11.3%,18.2%であつた。
42年度事業のうち特記事項は次のとおりである。
(1) 京浜,阪神両外資ふ頭公団の設立
これは経済の発展に伴う外貿定期船貨物量の急増(50年には現在の約2倍の7,000万トンと推定),コンテナ化の本格化に対処するため,現行港湾法による公共ふ頭整備方式に加え,コンテナふ頭を含む主要外貿定期船ふ頭の整備について新たに公団方式を導入し,施設整備に対する財政投融資及び民間融資の活用を図ると共に施設の専用使用を中心にして施設の効率的運営を推進することを目的とするものである。事業の全体計画(計画期間42〜49年度)は総論〔1−4−6表〕のとおりである。
施設は,コンテナふ頭においては岸壁と背後のコンテナヤード,クレーン,フレートステーション等を,一般外貿ふ頭では岸壁と背後の上屋を一体として建設し,船舶運航事業者等に貸付けて専用使用させるものである。
財源は建設期間中の各年度の事業費(建設利息も含む)の20%に相当する額を,国および港湾管理者である地方公共団体が1対1の割合で出費し,40%は船会社等から借入れ,他の40%は長期の財政資金を導入することとしている。
(2) 重点事業
42年度の重点事業は下記のとおりであつた。
イ 外貿貨物の増大に対応する主要ライナーポートを中心とする外貿港湾の整備
ロ 新産都市等建設促進のため,地域開発の中核となる港湾の整備
ハ 瀬戸内海航路等主要航路の整備
(3) 海水汚濁防止施設の整備
船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律の制定に関連し,特に油濁の著しい千葉,川崎,横浜,神戸,和歌山下津,水島の6港において油濁防止施設の整備に着手した。
(4) 国庫負担率の引上げ
東京,清水,名古屋,四日市,大阪の特定重要港湾5港における外貿定期船施設に係る国庫負担率を現行5/10から6/10に引上げ,国際化にそなえて外貿定期船港湾の整備拡充を図ることとした。
(5) 港格の変更
重要港湾新潟,姫路の2港を特定重要港湾に,地方港湾,日立,尾鷲の2港を重要港湾に格上げした。
(6) 新規着工
地方港湾10港,離島地方港湾11港の整備に新たに取りかかつた他,瀬戸内海北航路(-17m増深)浚渫にも全額国費をもつて新規に着工した。
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