3 財政赤字の原因
企業会計方式による収支をみると,前述のように港湾管理者財政は大幅な赤字にあえいでいる。その原因としては次のようなものが考えられる。
まず第1に使用料等収入が著しく少なく,原価に対してわずか55%を占めるにすぎないことである。このように使用料等収入が原価を償つていない原因としては,港湾海上水域施設(泊地を除く。)および外かく施設については使用料の徴収が禁じられており,これを補う入港料の徴収も行なわれていないこと,臨港道路のように,社会通念上または徴収技術上徴収が困難なものがあること,臨港鉄道のように通例収支がつぐなわないものがあること等が考えられる。
また,係留施設,保管施設等についても,その使用料金の公共的性格が濃いことから値上げに対する利用者の反発が強いこと等のため,上昇傾向にある建設費,維持補修費,管理費等を償うよう計算されていないこともみのがせない。
第2に,公債利子の負担が大きいことが挙げられる。前述のように,急速な港湾投資の実施に伴う公債利子の著増が赤字の一因となつている。
〔II−(III)−12表〕に示すとおり,41年度における公債利子は37年度に比して292%と大幅に増加しており管理費の増加とならんで港湾管理者財政に深刻な影響を及ぼしており,この傾向は今後も続くものと考えられる。
以上のほか,地方開発のための先行投資をする必要性等のため港湾施設の能力に見合つた使用がなされていないものがあること,石炭需要の減衰等経済事情の変化のため施設が遊休化していたり,転用のための再投資が必要となること等も赤字の原因となつている。
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