1 船舶からの廃油排出の態様
船舶から通常排出される廃油としては,ビルジ,油性バラスト水及びタンク洗浄水がある。
ビルジは船舶の機関から運転中に漏出する燃料油や潤滑油を含む廃油であり,船舶から僅かではあるが,常時海中に排出されている。
油性バラスト水は,油送船が船積港に空船で回送されるときに,喫水を深くして船体の安定を保つために貨物艙に入れた海水(バラスト水)が貨物艙の隔壁に附着している油と混合して油性汚水となつたものである。その量は,ビルジ及びタンク洗浄水に比べ最も多く,積荷前に海中に排出されている。このため,油性バラスト水による海水の汚濁は,油の積出港の付近で起こることとなるので,わが国の場合,原油を大量に輸入する外航油送船については,積出港のペルシヤ湾付近と異なり問題はないが,内航油送船については,石油積出港付近の汚濁が問題となつている。
タンク洗浄水は,船舶が検査,修繕等のため造鉛所に入渠する場合,油送船が荷油の種類を入れかえる場合に,貨物艙その他タンク等を洗浄することから生ずる廃油である。その量は,油性バラスト水についで多く,油の含有量も多いため,陸地の付近で排出すると大きな被害を生ずるおそれがある。
|