1 国際民間航空機関(ICAO)との関係
ICAOは1944年シカゴで制定された国際民間航空条約(シカゴ条約)に基づき成立した国際連合の一専門機関で,国際民間航空の安全で秩序ある発達および国際航空運送業務の健全かつ経済的な運営を図ることを使命としており,戦後の世界の民間航空において大きな役割を果している。わが国は昭和28年10月ICAOの第61番目の締約国となつたが,43年5月現在では116カ国が加盟している。
31年わが国は,はじめて理事国となり,以後,3年ごとに行なわれる理事国選挙において引き続き理事国として選出されている。さらに理事会の補佐機関である航空委員会にも34年以来委員を送つている。
上記理事会および航空委員会は常時開催されているが,専門的な問題の検討には随時専門部会等の会議が開催されており,過去一年間に,わが国は次の会議に参加した。
(1) 第16回法律委員会 昭和42年9月5日から22日までパリで開催され,数カ国で共同して運航される航空機に対するシカゴ条約の適用の問題,外国機が地上第三者に与えた損害についての条約(ローマ条約)改正の検討,航空交通管制機関の責任に関する条約案の作成についての討議等が行なわれた。
(2) 第5回航空会議 昭和42年11月14日から12月15日までモントリオールで開催され,近年の航空輸送量の増大にともなう国際航空の運航の輻そう化および航空機の大型化,高速化に対処するため,進入および着陸時の運航の安全性と効率の向上についての検討が行なわれた。また空港周辺の騒音対策についても意見の交換が行なわれた。
(3) 第6回北大西洋定点観測船共同維持協定会議(NAOS) 昭和29年NAOS協定締結後の航空技術の発展による情況の変化にともない本協定を再検討する目的をもつて43年3月5日から3月22日までパリで開催された。本会議はわが国が38年本協定に加入して以来はじめてのものであり,本協定の効用および財政問題等,経費分担国としてのわが国にとつて関心の深い問題が検討された。わが国は,積極的に討議に参加し,分担金算出基準の改定および財政管理についてのわが国の主張が認められた。
(4) 第8回耐空性委員会会議 航空機の構造および性能の面から航空機の安全な運航を確保する目的をもつて昭和43年3月22日から4月11日までアムステルダムで開催され,新型航空機の安全およびクラッシュ時における装備品の安全性についての国際基準が検討された。また,STOL機(短距離離着陸機)およびVTOL機(垂直離着陸機)について各国の意見交換が行なわれた。
(5) 第7回航空運送手続簡易化部会会議 昭和43年5月14日から5月30日までモントリオールのICAO本部で開催された。本会議はシカゴ条約第22条,第23条の規定に基づいて,旅客貨物の出入国手続を簡易化し迅速にする方法を検討し国際航空運送の発展をはかることを目的としており,従来はその手続面に重点をおいて検討が行なわれていたが,今回は近い将来到来すると予想される超大型航空機,超音速航空機時代に対処するために空港施設の面もとりあげられ,従来の国際標準勧告方式の再検討が行なわれた。
また,電子計算機利用による出入国手続の簡易化を研究するためのワーキング・グループを設置することが勧告された。
(6) その他 その他,わが国から代表を派遣した会議としては,北大西洋定点観測船の運営上の技術的問題運営費および新造船建造計画等の検討を行なう北大西洋定点観測船欧州諮問委員会,東南アジアの民間航空の健全な発達について論議を交すアジア・南太平洋航空局長会議などがあつた。
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