2 航空交通管制業務の近代化


  航空路管制機関およびターミナル管制機関における航空交通の量的増加および質的変化の現況は前述のとおりであるが,このような情勢において,航空交通管制の安全性,規則性,迅速性を確保するには管制方式,手段(機器)等の改善,整備を行なうことが焦眉の急となつている。昭和41年10月に行なわれた第24回航空審議会の答申には,管制空域の再編成,無線航法施設の近代化,通信施設の整備および航空保安職員の充実等が盛り込まれている。
  空域の再編成のねらいは,繁忙な空港の周辺および主要航空路ならびに高々度空域において,航空機相互間の安全性をさらに高めるために特別管制空域を設けて,その中を飛行する航空機には計器飛行方式のみを認める管制方式(Positive Control)または有線視界飛行方式による航空機も管制の対象にする方式(Extended ControI)を実施するとともに,狭い航空路概念を破つた広域管制区の範囲を現在よりさらに広めて,計器飛行方式の実施に安全性と幅をもたせようとするものであるが,現在計器飛行方式のみを認める空域が設定されている。また一方,管制施設,無線施設,通信施設等の整備充実の必要性はますます強くなり,前述のとおり(第4章第2節参照)その整備拡充が図られている。
  管制の自動化については,40年度から3カ年計画で総額約10億円をもつて東京管制部の自動化計画を進めており,第1次計画としては飛行計画の自動処理,記録情報の自動更新,異常接近の探知に必要な電子計算機を設置することとし,既に局舎建設,電子計算機の製作,設置を完了し,現在最終調整を行なつている。なお42年度では,ターミナル管制機関の自動化についてのソフト・ウエア関係の調査が実施され,43年度ではハード・ウエア関係の調査費が認められている。
  上記管制施設等の整備と相まつて管制職員の養成規模も拡大され,航空交通管制業務の近代化は着実に進められている。


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