4 国の施策及び今後の問題


  ホテル業に対する国の施策としては,まず税制上の措置として,国際観光ホテル整備法により所得税,法人税の課税標準に関する減価償却資産の耐用年数の短縮を図つており,さらに建物については地方税の軽減をするものとしている。前者は43年4月に改正され通常の耐用年数のほぼ3/5〜2/3に短縮されることとなつた。後者については,42年12月1日現在ホテルの78.2%について固定資産税が軽減され,その多くは50%程度の軽減状況にある。つぎに外客の宿泊に適するホテルに対して日本開発銀行から融資(年利8.2%,償還期限15年以内)が行なわれており,その状況は 〔IV−32表〕のとおりである。

  ホテル業に関する今後の問題としては,第1にわが国においては欧米諸国に比べて料金の低廉な中級ホテルが少ないことである。とくに45年の万国博覧会,同年以後の巨人旅客機の就航に伴い,中低所得者層の外客の来訪が増加すると見込まれるので,中級ホテルヘの財政融資をさらに強化する等中級ホテルの整備に関する諸施策を早急に検討する必要がある。
  第2に労働力の問題である。ホテル業(旅館業においても同様である。)においては,他産業に比べとくに労働力に依存する部分が大きいが,近年の労働力の不足傾向は,ホテルの経営にとつて大きな問題となつている。
  第3に資本自由化の問題である。国際観光ホテル業は,42年7眉から外資の進出が100%自由化された。現在までのところ,まだ同事業への外資進出の具体的動きはみられないが,今後,航空会社との提携による外資進出等もあり得るので,わが国ホテル業の競争力の強化について検討しておく必要がある。


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