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1 わが国国際航空の動向昭和43年の世界の国際航空輸送実績は,ICAO(国際民間航空機関)資料によれば旅客輸送量は5,500万人(対前年比8%増),1,140億人キロ(対前年比9%増)で,貨物輸送量は43億1,000万トンキロ(対前年比20%増),郵便物輸送量は10億5,000万トンキロ(対前年比17%増)と順調な伸びを示した。 一方,わが国の国際航空の昭和43年度の輸送実績は, 〔1−2−7表〕に示すとおり,旅客47億200万人キロ,貨物2億2,094万トンキロで,対前年度比でそれぞれ27.8%増,54.6%増となり,ここ数年来大幅な伸びを持続し,とくに貨物輸送の伸びは旅客輸送の伸びをさらに大きく上回つた。43年度のわが国の国際路線拡充,増便状況をみると,7月にニューヨーク・パリ線,8月に南回り欧州線のベイルート寄航,9月にバンクーバー線等を開始し,太平洋線で42年度の週27往復から43年度は週37往復(いずれも旅客便)に増便したのをはじめ,各路線とも大幅な増便を行なつた。わが国の国際航空輸送量を路線別にみると,旅客輸送では 〔1−2−8図〕に示すように太平洋線(ニューヨーク線を含む)のシエアは約50%を占めているが,その割合は年々減少の傾向にあり,一方東南アジア線のシエアは年々増加し,43年度で22.0%を占めるにいたつた。また北回り欧州線シエアも順調に伸びている。貨物輸送では,どの路線も大幅に伸びてきているが,特に70%近いシエアをもつ太平洋線の伸びは著しく,43年度で対前年度比70%増の伸びを示した。 このようにわが国の国際航空が伸びてきたのは,旅客輸送においては日本航空の路線拡充,増便,安全運航に対する努力,内外航空客の吸引努力が実つたからであると考えられるが,わが国のめざましい経済発展に伴つて,政治,経済,文化等の国際交流の活発化,国民所得水準の向上によるレジャーの多様化,国際化によるところが大きい。また国際航空貨物の急激な伸びは,航空機の大型化,ジエツト化等による輸送能力の増加と,それに伴う輸送コストの低減および運賃の低下など輸送条件が改善されたことに加えて,航空輸送によるスピード輸送のもつ直接,間接的なメリツトが,近代的な輸送需要にマツチしてきたことによるところが大きい。このことは,航空貨物の内容が,従来は貴重品とか緊急輸送を要する特殊商品に限られていたのが,現在では輸送機器類,機械類,織物類,衣料等,多様化してきたことからもうかがえる。 近年世界の国際航空は,めざましい技術革新による輸送力の増強と,急膨張した航空旅客輸送需要の増大に支えられて急速な発展を遂げてきたが,それとともに,各国の航空企業間での競争は,激化の一途をたどつている。42年日本航空はIATA(国際航空運送協会)加盟の航空会社のなかで8位となり,著しい躍進を示したが,42年以来航空界に大きな話題をなげかけた,いわゆるパシフィツクケース(米国航空会社の太平洋航空路線の新規免許問題)にみられるように,わが国も激化する国際競争のなかできびしい試練の前に立たされている。このパシフィックケースの実現で,米国の大手航空会社が新規乗り入れを含む大量増便をすることになれば,それがジャンボジェット機等新鋭機の登場と重なつて,太平洋路線は供給過剰の状態になり,ますます競争が激化することになり,わが国航空企業はきびしい立場におかれることはさけられない。今後わが国航空企業が国際競争のなかで優位にたつためには,路線網および運航回数の拡充,新鋭機材の投入のみならず,大量販売対策,地上受入れ施設の整備,貨物集配機構の強化等の対策が必要である。
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