2 鉄道車両の輸出


  鉄道車両の輸出契約実績の推移は 〔1−2−14図〕に示すとおり,43年度の実績は4,685万ドルで,前年度に比べて11.1%増加した。これを地域別にみると,東南アジア地域からの受注が約2倍となり,中近東アフリカからの受注が半減している。また,43年の輸出通関実績は7,146万ドルで,前年比9.4%の増加となつた。その輸出地域は 〔1−2−15図〕に示すとおり,発展途上地域が82.1%と大半を占め,先進地域は42年の21%から43年は15%へ減少した。
  このように鉄道車両の輸出先は従来からほとんど発展途上国に限られているが,これらの国は慢性的な外貨不足に悩むものが多い。これらに対し欧米先進国の長期延払,あるいは借款の供与,インドの安値輸出,共産圏諸国の安値またはバーター取引の申し入れなどがあるうえ,発展途上国自身で鉄道車両の国産化移行を急いでいることなどがあつて,わが国からの鉄道車両輸出拡大に障害が多い。このため,鉄道車両工業においては秩序ある輸出体制の確立と企業の合理化を図る必要があり,また相手国に購買力を与えるための一次産品の買付および借款の供与,時宜に応じた長期延払い等の輸出振興策が望まれている。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る