1 昭和43年度の事業経営の動向昭和43年度のわが国経済は,42年秋に景気調整策がとられたため,前半はやや鈍化の動きを示していたが,景気調整の影響は軽微におわり,全体としてみると拡大基調をつづけ,また国際収支も大幅な改善をみせた。企業経営の一般動向を日銀「主要企業経営分析」によつてみると,43年上期は金融引き締めのもとで,売上高,純利益とも増勢が鈍化したが,下期は金利,償却負担が軽減され売上高,経常利益が大幅に向上し,使用総資本収益率は上期の落ちこみを回復し,40年下期以降7期連続の増収増益を記録した。 運輸事業の動向をみると,経済の活発な動きを反映して順調な伸長をみせた輸送活動をうけて,各業種とも営業収入を伸ばしたが,反面人件費を中心に営業費用が収入の増加率を越える増加を示したため,利益においては一部を除き低調な結果となつている。このため運輸業の総資本収益率は, 〔1−4−1図〕に示すように43年上期3.55%に続いて下期2.73%と低下し,全産業と異なつた傾向を見せた。
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