3 自動車工業および自動車整備業


(1) 自動車工業

  わが国の自動車工業は,日本経済の高度成長と生活水準の向上に伴つて著しい発展を遂げ,昭和43年には四輪車の生産台数は408万台で,前年に比べ29.9%増,5年前の昭和38年に比べると約3倍の規模となつている。一方,二輪車は224万台で,ここ数年横ばい状態にあり,三輪車は2万1,800台で年々減少の一途をたどつている。わが国の自動車生産台数を国際的にみると,四輪車で昭和42年以来,米国に次ぐ世界第2位となつており,トラック,バスでは米国をしのいで世界第1位,乗用車は第3位である。また,二輪車については昭和35年以来世界総生産の50%以上を占めて世界第1位の生産台数を維持している。
  わが国の自動車工業は昭和35年までは,トラック,バスを中心とする後進国型の傾向を多分にもつていたが,それ以降,国内での自家用乗用車を中心とする需要増大の波に乗つて,乗用車の比重が漸次高まり,先進国型に変わりつつある。しかし,以上のような順調な成長を遂げた反面,交通事故の激増による安全対策の問題,排気ガス等公害の問題が社会的に大きくとりあげられてきており,これらの問題は官民一体となつて解決に当らねばならないが,自動車工業においても,事故による被害軽減のための保安装置の装備,有害な排気ガスを減少させるようなエンジンの改善等安全,公害対策に努めている。
  わが国の自動車の輸出動向についてみると,台数および金額は年々加速度的に増加し,43年には四輪車で61万台余,7億7,300万ドルとなり,台数では対前年比69.1%増,金額では同66.8%増とその伸び率は過去最高を記録した。また二輪車は113万台,1億8,400万ドルであつた。輸出の傾向は,昭和35年ごろまではトラック,バスが大部分を占めていたが,その後乗用車の比重が年々高まりつつある。

(2) 自動車整備業

  自動車整備業の43年度における整備売上高は,6,530億円で,前年度に比べて12%増加した。これを内容別に分けると,定期点検整備が45%,故障修理が55%であつて,故障修理が定期点検整備を上回つているが,定期点検の占める割合は年々高まつている。
  自動車整備業の利益率は,売上高利益率において39年度の7.1%をピークに逐年下降し,42度は5.4%となつている。これは,ここ数年来自動車保有台数の増加に伴い整備工場が急増したが,車両の質の向上,予防整備の普及,道路整備の進捗等に伴つて自動車1台当りの必要整備作業量が大幅に減少し,整備供給能力が過剰となつて事業場の稼動率が低下したためである。
  自動車整備業は昭和39年,中小企業近代化促進法の業種指定を受けて,40年度から44年度まで同法に基づく近代化を推進してきた。今後は,需給バランスを前提とした企業の適正規模化を効率的に促進すべく業界全体の体質改善が急務とされている。


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