2 自動車ターミナル
(1) 現況
自動車輸送の合理化,効率化を図り,あわせて大都市の交通混雑の円滑化に資するため,自動車ターミナルの整備が計画的に進められており,その現況は 〔I−(II)−15表〕のとおりである。昭和43年10月末,バスターミナル370,トラックターミナル1,578であり,42年度に比してバスターミナルは17,トラックターミナルは8増加した。これらのターミナルの規模は依然として5バース以下の小規模のものが多く,全体の76.1%を占めている。
(2) 日本自動車ターミナル株式会社
大都市における道路交通の円滑化およびトラック輸送の合理化を図るとともに,流通機能の向上に資するため,昭和40年7月,「日本自動車ターミナル株式会社法」に基づき,日本自動車ターミナル株式会社が資本金3億300万円(うち,政府出資5,000万円)の特殊法人として設立された。現在,東京において京浜トラックターミナルが供用を開始しており板橋地区にも大規模なトラックターミナルを建設準備中である。
大都市周辺に大規模なトラックターミナルを整備することは,たんに輸送の効率化を図るため必要であるばかりではなく,道路混雑対策,事故公害対策のうえからも緊要のことである。しかし,用地費等巨額の資本を必要とすること,強い公共性のためその使用料金が低額におさえられ企業としての採算性に乏しいこと等により,民間資金の導入がむずかしく,ターミナルの整備は著しく立ち遅れている。したがつて,日本自動車ターミナル(株)に積極的な助成措置を講じることにより,ターミナルの整備を促進する必要がある。
なお,44年3月現在の資本金は,33億5,000万円(うち政府出資10億円,東京都8.5億円,民間15億円)となつている。
(3) トラックターミナルと流通業務団地
大都市における自動車交通の渋滞からもたらされる流通機能の低下に対処し,都心部に過度に集中しているトラックターミナル,鉄道貨物駅,倉庫,問屋,市場等の流通業務施設を都市の外周部に流通業務団地として集約的に配置することにより,道路交通の円滑化,流通機能の向上を図り,都市機能の維持増進に寄与することを目的として,昭和41年7月「流通業務市街地の整備に関する法律」が制定された。
この法律に基づき,流通業務施設の整備に関する基本方針が,すでに東京,大阪および札幌について決定され,それぞれ実施に移されている。
これらの流通業務団地の中核となるべき大規模なトラックターミナルの整備状況はつぎのとおりである。
イ 東京
東京都におけるトラックターミナルについては,京浜2区,板橋地区,足立地区,西南地区および葛西地区の5カ所に整備することになつているが,そのうち京浜2区については,43年6月,22.3ha,390バースの規模をもつわが国最大の京浜トラックターミナルが供用を開始した。44年3月現在の取扱貨物量は1日約8,100トン,出入貨物自動車台数は1日約7,100台となつており,国鉄汐留駅の取扱量にほぼ匹敵するに至つている。板橋地区(11.6ha,320バース)においても現在整備にとりかかつており,その他においても逐次整備が検討されている。
ロ 大阪
大阪におけるトラックターミナルについては,東大阪,北大阪および南大阪に整備することになつており,そのうち東大阪については43年2月その大部分の供用を開始したが,44年3月現在288バース,1日取扱貨物量6,100トンにおよぶ大規模なものとなつている。
ハ 札幌
札幌市におけるトラックターミナルは,市の東部の大谷地流通業務地区に建設されることになつており,その準備が進められている。
ニ その他の大都市
仙台,横浜,名古屋,京都,神戸,広島,北九州,福岡等人口おおむね50万以上の都市については,都市発着貨物量等を勘案し,緊急度の高いものから流通業務団地の整備と関連をもたせながら,トラックターミナルを逐次整備することとなつている。
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