2 安全な自動車整備の確保


(1) 定期点検整備の徹底

  自動車の増加による都市交通の高密化のため,路上における自動の故障は著しい交通渋滞を招くに至つた。一方,昭和37年に名神高速道路の一部が開通されて以来,高速道路の整備が進められ,高速道路における車両欠陥事故の多発が憂慮されている。これらの路上故障,車両欠陥事故等の防止を図るためには予防整備が必要であり,38年に「道路運送車両法」の一部を改正し,自動車使用者に対して,定期点検整備の実施を義務づけ,その励行について指導している。
  また,自動車の排出ガスによる大気汚染を防止するため,43年に定期点検整備の基準を改正し,排出ガス清浄化のための点検項目を追加した。
  定期点検整備は,事業用自動車および大型の自家用自動車については1カ月ごと,その他の自動車については6カ月ごとに実施することとなつているが,その実施状況は逐次向上し,点検整備不良による事故の発生率も低下している。しかし,さらに定期点検整備の普及徹底により路上故障及び車両欠陥事故の減少を図るため,自動車使用者に対しては定期点検整備の必要性の理解を深めるようあらゆる機会に指導するとともに,整備事業者に対しては科学的な診断および適切な整備の実施,点検整備料金の適正化等について指導している。
  さらに,高速道路を走行する場合には高速連続走行に適応した事前点検が必要であり,この特殊性を究明するため,40年度から高速道路における路上故障の発生状況について,一般道路と比較調査を実施している。この調査結果によると,名神高速道路の1万キロメートル当り故障発生件数は,40年度0.672件が43年度0.341件に,1億台キロメートル当り車両欠陥事故件数は,40年度31.82件が43年度6.77件にいずれも減少の傾向を示しているが,車両欠陥事故の発生率は一般道路の数倍に達している。名神高速道路における装置別の故障発生割合は,エンジンおよびタイヤの故障が50%以上を占め,車両欠陥事故は,タイヤ,ハンドル等の欠陥によるものが大部分である。そこで,これらの結果をもとに43年10月タイヤ3項目,エンジン3項目,ブレーキ6項目,ハンドル2項目等の17項目からなる「高速走行点検要領」を定め,高速走行する場合は,事前にこの要領により点検を実施し,高速走行時の故障ひいては車両欠陥事故を未然に防止するよう自動車使用者を指導している。
  また,自動車運送事業者等多数の自動車を使用している者に対しては,自動車の点検整備に関する職務を執行させるため,一定の資格を有する者を整備管理者として届出ることを義務づけており,現在9万5,000人の整備管理者が選任されている。この整備管理者に対しては,定期点検整備,仕業点検等保安確保に関する研修を行ない,充実した点検整備が実施できるよう指導している。

(2) 整備要員の確保

  自動車の性能を維持し,運行の安全性を確保するためには,自動車の整備作業を行なう者の技能の健全な向上を図り,自動車整備能力を増強する必要がある。
  このため,昭和42年に自動車整備士技能検定制度を創設し,学科及び実技の検定試験を実施している。近年,自動車の普及とともに,整備の重要性が認識されたため,受験者が増加し,年間約21万余名が受験する活況を呈し,44年3月現在延84万名が合格している。
  また,38年より整備要員の新人養成と再訓練について,一貫した教育訓練の実施体を確立するため,自動車整備士養成施設の指定制度を設け,44年3月末現在新人教育264,再教育69の養成施設を指定し,年間約12万名の教育訓練が行なわれている。

(3) 整備工場の認証,認定および指定制度

  自動車分解整備事業は,自動車の性能の維持,安全性の確保および排出ガス防止の責任の一端をになうものとして,事業場ごとに認証を受けなければならないこととされ,認証に当つては,設備および従業員が所定の基準に適合する等定のレベルの人的物的能力を有することが要求されている。44年3月末現在で認証工場は約55,100工場あり,これを前年同期に比較すると約6.8%増加している。
  また,自動車の整備の向上を図るため,優秀な設備,技術および管理組織を有する自動車整備事業者に対しては,事業場ごとに優良自動車整備事業者の認定を行なつている。認定工場は生年3月末現在で約2,630工場あり,これを前年同期に比較すると約49%増加している。
  優良自動車整備事業者の認定を受けた者のなかから指定自動車整備事業を厳選指定し,国の行なう検査の一部を委託することにより,検査業務の積極的な合理化を推進している。44年3月末で指定工場は約2,120工場あり,43年度において,継続検査のうち約24%が指定整備として取扱われている。


表紙へ戻る 次へ進む