4 土砂等運搬大型自動車の規制
(1) 「ダンプ規制法」の効果
ダンプカーによる交通事故の防止を図ることを目的として,昭和43年2月1日「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」,通称「ダンプ規制法」が施行された。同法は,当初,在来車の届出及び自重計取付けに猶予措置を講ずる等,法の適用が段階的になつているため,その効果は直ちには認められなかつたが,最近においては,ダンプカーによる事故は減少の傾向にある。
「ダンプ規制法」施行後1年間における交通事故の発生件数は10,790件で,死者782人,重軽傷者13,303人となつている。これをダンプ規制法のなかつた前年同期に比較すると件数で0.7%増(全自動車21.0%増),死者数で4.8%減(同5.3%増),重軽傷者数で5.0%増(同25.3%増)となつており,件数,死傷者数ともその伸び率は全自動車に比べて著しく減少している。特に死者数の大幅な減少はダンプ特有の重大事故の減少を示すもので特筆に値する。
(2) ダンプカー関係業界の実態
イ 車両数
昭和43年12月末現在における届出台数は131,605台で,その約9割は白ナンバーの自家用ダンプである。業種別には砂利販売業の車が最も多く35%,次いで建設業29%,自動車運送事業11%,砂利採取業6%,砕石業4%,採石業1%,その他14%となつている。
ロ 事業者数
43年12月末現在におけるダンプカー使用者数は,66,182業者であるが,その96%は自家営業者で,自動車運送事業者はわずか4%にすぎない。自家営業のうちでは,砂利販売業者(44%)と建設業者(29%)とで7割以上を占めている。1事業者当りの平均保有台数は営業用が5.6台,自家用が1.8台である。
いわゆる一匹狼(一人車のダンプ業者)は,自家営業者の69%,同車両数の38%を占めている。業種別では砂利販売業に最も多く,同事業者の73%,同車両数の47%は一匹狼である。
経営規模別構成は,個人企業が71%,会社形態が26%その他3%で,資本金100万円以下の事業者が約8割を占めている。
また,従業員4人以下の企業が61%,運転者4人以下の企業が78%となつており,ダンプカー業界の零細性が目立つ。
(3) 今後の施策
ダンプカーによる交通事故は,その伸び率の減少傾向にもかかわらず,事故発生率は依然高く,昭和43年中における1万台当りの事件発生件数は,一般トラックの497件に対し,ダンプカーは830件で1.7倍となつており,この比率は前年とほぼ変りない。
ダンプカーによる交通事故の発生は,ダンプ業界の零細性に起因する過当競争が大きな原因となつていると考えられるので,今後は協業化による事業基盤の強化を図るとともに,骨材の合理的な輸送体系の確立を図るための施策を強力に推進する必要がある。
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