2 各国商船隊の動向
世界の商船(100総トン以上の鋼船)船腹量は,43年6月末において4万7,444隻1億9,415万総トンに達し,42年同期に比べて3,069隻1,205万総トン,6.6%増加した。この増加量は42年の記録を越える戦後最高であり,また,伸び率も33年の7.1%,41年の6.7%に匹敵する高い増加率であつた。
なお,43年前半の起工量からみて,43年末の総船腹量は,2億総トンの大台を越えたことは確実とみられる。
これを船種別にみると,油送船は,6,921万総トンに達し,年間伸び率は7.8%であり,42年の6.6%を上回つた。一方,油送船以外の船腹量は1億2,494万総トンを数え,42年に比べて704万総トン6.0%増加し,伸び率では戦後最高の42年の6.3%をやや下回つたものの,増加量は戦後の最高記録を更新した。
この増加量を国別にみると 〔II−(I)−3表〕のとおりもつとも著しかつたのはリベリアの312万総トン(前年比13.8%増)であり,次いで日本の270万総トン(同16.0%増),ソ連の145万総トン(同13.6%増),ノルウェーの129万総トン(同7.0%増)の順となつており,この4カ国の増加量のみで世界全体の増加量の71.0%を占めている。また,欧州諸国も世界貿易の拡大から,船舶建造意欲を高めつつあり,ここ数年保有量は徐々に増加しているが,英国はあまり顕著な増加を示していない。一方,米国は42年に続き,この1年関に67万総トンの減少を示し,ギリシャも2万総トン減少した。
この結果,43年6月にお被る各国船腹保有量の順位は,リベリアが1位を確保し,2位は英国,3位米国,4位ノルウェー,5位日本,6位ソ連と順位については42年と変動はないが,米国,ノルウェー,日本はほとんど肩を並べており,その後の船舶建造量から推定して,現時点では日本が世界第3位に進出していると予想される。また,5カ年計画で急激な船腹拡充に努めているソ連海運の動きが注目される。一方,米国,ギリシャの海運の後退が目立つが,米国,ギリシャの両国は,ともにリベリア,パナマ,ホンジュラス等の便宜置籍国に多数の船腹を保有しており,実質的には米国は3,000万総トン,ギリシヤは2,300万総トン程度とみられている。
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