2 商船々員の賃金概況
(1) 賃金体系
一般的に商船々員の賃金は,本給,諸手当および航海日当からなり,乗船中と下船中で支給賃金が異なる。また,外航と内航とでは賃金体系に若干の相違がある。外航の例でいうと,本給は,「保障本給」と「本人本給」の二つがあるが,前者は乗船中のみに適用される本給で,職種別に定められそれに経験年数による加算がある。本人本給は,年功序列型で採用時の初任給に年次昇給額を加えたものであり下船中の本給となるほか,次に述べる方法で乗船中の本給の基礎にもなる。乗船中の本給は,保障本給又は本人本給の1.2倍又は,保障本給の何れか高いものによる。この結果大手企業では同一企業での長期勤続者が多いため,本人本給により乗船中の本給が決定されるものが多く,中小企業では逆に保障本給の適用者が多い。
諸手当は,多いもので20種類あるが,その主なものは船機長手当,タンカー手当,時間外手当等であり,また,航海日当は乗船本給をいくつかに階層区分し,最終目的地別にそれぞれ支給日額が定められている。
しかし全日本海員組合と協約関係にない内航小型船と旅客船の大半については,以上と異なり賃金体系は種々雑多であり,歩合給制によるものもある。
(2) 賃金水準
商船船員の定期給与月額は,前掲の表のとおりであるが,43年平均を42年平均と比較してみると外航船9,8%,汽船の内航は10.2%,帆船は15.1%それぞれ上昇している。
昭和39年以来の傾向をみると,同じ汽船においては外航船より内航船が,汽船と帆船においては帆船の方が上昇率が高い。これは,船員需給のひつ迫によつてより低水準の部門が労働条件の改善を余儀なくされているためと考えられる。
商船船員の特別給与の昭和43年平均月額は外航船17,976,内航の汽船6,714円,帆船5,699円となつており,42年平均よりそれぞれ24.6%,37.0%,21.8%,上昇している。
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