3 法令の励行
海上交通の安全の確保と秩序の維持を目的とする船舶安全法,船舶職員法,船員法,港則法等の海事関係法令の違反は直接または間接に海難の発生に結びつくおそれがあるので,海上保安庁では船舶の立入検査等を実施してその励行を図つている。
43年においては,年末年始における交通安全総点検をはじめ,春秋2回の全般的な海事関係法令違反の取締り,油送船等危険物積載船舶と旅客船を対象とした取締り等年間9回の全国的な一斉取締りを実施した。年末年始の交通安全総点検は,昨年に引続き運輸省関係各局と合同で実施したもので,海上保安庁は,従来から実施してきた冬期における海難防止のための取締りと年末年始特別警戒を含め,旅客船,漁船および小型鋼船を対象とし,旅客定員の厳守,法定職員の乗組みの遵守,救命具の備付け等に重点をおき特別の点検班を編成して実施したもので,点検を行なつた対象船舶は約9,000隻に達した。また,海事関係法令違反の公開取締まりは,無資格運航,法定職員定数違反,最大とう載人員超過とう載等海事関係法令違反の増加が著しい実情にかんがみ,海事関係団体に対し事前に取締りを実施する旨を明らかにして違反の防止のための指導を呼びかけたうえ行なつたものである。
このような一斉取締りのほかにも随時船舶の立入検査等を実施して海事関係法令の遵守を徹底させるとともに違反者の摘発に努めた結果,43年においては約19万件の立入検査を行ない約2万件の海事関係法令違反を検挙した。
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