1 巡視船艇,航空機の整備


  海上保安庁は,現在巡視船89隻,巡視艇208隻および航空機18機を保有しており,海難救助をはじめ海上保安業務全般にわたり効果的に運用している。
  海難救助を有効・適切に行なうことにあわせ,特に最近の港内・狭水道等における交通のふくそう・複雑化に対処し,海上交通秩序の維持および安全の確保を図るため,43年度においては巡視船3隻および巡視艇6隻の建造を実施した。この中には,42年度に引き続き2,000トン型の大型巡視船が含まれており,44年3月に就役した大型飛行機(YS-11A型)1機とあいまつて遠距離救難体制は一段と強化された。また,最近の大型油送船の増加に伴い,その災害対策の一環として,世界的にみても画期的な能力を持つ消防船を東京湾に配置したが,曇年度には第2船目を増強する予定である。
  しかしながら,巡視船艇の中には,旧海軍等から引き継いだものあるいは,すでに耐用年数を超過したもの等187隻がある現状にかんがみ,今後数年間に初期建造巡視艇128隻の代替建造による性能向上を実施する計画であり,第1年度として44年度には19隻の建造を行なうこととなつている。巡視船については44年度に2隻建造するが,今後の課題は,初期建造巡視船を代替建造方式を中核として急速に近代化し,ますます増加する海上保安業務への要請に応えることである。
  一方,航空機については,44年度に中型飛行機(ビーチクラフト型)1機および小型ヘリコプター(ベル型)1機を増強する予定であるが,広範多岐にわたる業務の効果的遂行のためには現有勢力ではいまだ不十分であり,今後とも航空機および航空基地の整備増強を図る必要がある。
  なお,荒海でも離着水し,救難活動を実施できる飛行艇の整備について各方面からの要望も高まつている。


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