3 航空国際収支
昭和43年度のわが国の航空国際収支は,著しい改善を示し,初の黒字計上を達成した。すなわち, 〔III−13表〕のとおり43年度の受取は前年度対比5,700万ドル増の2億900万ドルとなつたのに対し,支払は3,100万ドル増の2億ドルにとどまり,この結果収支尻では,2,600万ドルの改善をみて900万ドルの黒字となつた。航空国際収支は,従来から赤字幅縮少の基調をとつてきたが,43年度にいつきよに黒字計上となつたのは,路線網および便数の拡充,貨物専用便の運航等国際競争力の強化につとめた結果,旅客運賃収支の黒字幅が拡大し,また貨物運賃収支が著しく改善されたこと,港湾経費受取が大幅に増加したことによるものである。
![]()
しかし,いわゆるパシフィックケースの実現に加えて巨人機B-747の就航による大量輸送時代の到来を迎え,日米間の輸送市場を初めとして国際航空輸送市場では著しい供給過剰事態の出現が予想され,わが国をとりまく国際航空の情勢ばますます厳しさを加えていくものと思われる。このような情勢を考えると,航空国際収支も先行き楽観は許されず,わが国としては今後なおいつそう国際競争力の強化に努める必要がある。このためには,新路線の開設および既設路線の増便による国際路線の充実強化,新鋭機材の導入と合わせてホテルの確保,貨物集配体制の強化等大量輸送時代に即応する輸送体制の確立,自国機利用の促進,航空機乗員養成体制の強化等のための諸策を推進する必要があろう。
|