3 産業観光およびホームビジット


  来訪外客に対してその国の産業および家庭生活を新しい観光対象として積極的に紹介する産業観光およびホームビジットが近年世界的に重視されてきている。これらの新しい観光方式は,従来観光対象として考えられていた自然の風景,文化財等に加え,近代的産業,伝統的工芸,各国独自の特色をもつ国民生活等を新しい観光対象として紹介することにより,より多くの外客を誘致しようとするものであり,国際親善に果たす役割も大きい。
  まず,産業観光についてみると,産業観光の受入体制の基礎資料を整備するため,40年度から全国的規模でわが国の産業観光対象施設について,見学方法,見学者のための施設,サービスその他の受入体制の調査を行なつている。43年度には,40年度に作成した「産業観光施設要覧」に掲載されている対象工場について再調査し,近代的産業について「産業観光施設要覧」の改訂版を作成して関係者の利用に供した。
  ホームビジットの利用状況をみると, 〔IV−16表〕に示すとおり逐年必ずしも増加していない。これはホームビジットに関する宣伝が不足していること,ホームビジット会員,旅行あつ旋業者,地方公共団体等関係者相互間の情報交換が不十分であること等によるものと思われる。

  この制度は,一般に受入家庭の好意的奉仕に頼つているため,その組織化と運営には少なからぬ困難を伴うことが多いが,自主的に家庭を開放し,日常生活をみせるというこの新しい観光方式は,今後いつそう充実させていくことが必要である。


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