4 日本万国博覧会対策


  日本万国博覧会は,昭和45年3月15日から6カ月間,大阪の千里丘陵で開催されることとなつており,運輸省としては次にのべるような外客誘致策を積極的に推進している。

(1) 外客宿泊対策

  (財)日本万国博覧会協会の予測によれば,博覧会開催期間中における外客の宿泊需要は,約78万人とされており,この宿泊需要に対処するため,日本開発銀行および中小企業金融公庫からの融資を行なうことにより,重点的に近畿圏内におけるホテルおよび旅館の建設を促進している。日本開発銀行による近畿地区のホテル建設に対する融資決定総額は約57億円に達し,これによつて新たに約3,000室の客室が整備されることとなつている。しかし,日本人の旅行性向の増大やホテル利用率の増加を考慮すれば外客の宿泊施設の確保はなお困難であると考えられるので,運輸省では,昭和43年7月,国際観光ホテル整備法による登録を受けたホテル業者に対して基準客室の70%を,旅館業者に対しては基準客室の50%を開催期間中は外客に優先的に提供するよう指示するとともに,また運営面でも宿泊予約制度による施設の有効利用,適正料金で良好なサービスを提供できる体制の維持等について,関係機関等の協力をえて,趣旨の普及徹底を図つている。

(2) 国際観光食事店推せん制度

  日本万国博覧会開催を目途に,国際観光振興会,日本観光協会,日本商工会議所および日本万国博覧会協会は,運輸省の指導のもとに国際観光食事店推せん協議会を設け,外客の利用に適する食事施設の推せん制度を実施することとし,第1回推せんは東京,大阪等6大都市の食事店ならびに(社)日本レストラン協会および日本料理店協会の加盟店を対象として行ない,44年8月に73店を推せんした。
  第2回以降の推せんは,全国の食事店を対象として行なわれる予定である。

(3) 外客に対する料飲税の優遇措置

  外客のわが国における旅行経費の軽減を図り,外客誘致を促進するため,東京オリンピック時と同様に,日本万国博覧会開催年中の外客のホテルおよび旅館における宿泊およびこれに伴う飲食に対して,料理飲食等消費税を免除することとしている。

(4) 善意通訳運動

  万博時に来訪する外客が駅,街頭,車中等で経験する言語上の不便を解消して,外客に対する接遇の向上を図り,もつて日本の善意を外国人に印象づけ,国際親善の増進に資するため,広く一般から,募集した外国語会話の堪能な日本人が定のバッジをつけ,善意の通訳者として無報酬で奉仕を行なう本運動は国際観光振興会ならびに関東,関西地区の関係都府県の主催により実施される。

(5) その他

  訪日観光団体に対し,運賃について優遇措置を講ずることにより低廉な旅行を提供する観光地としての日本を理解せしめ国際観光の振興を促進するため,国鉄では15人以上の訪日観光団体について,1割5分の運賃割引を行なつている。なお,この適用を受けるには,運輸省大臣官房観光部長等の証明が必要であり,43年の証明件数は1,779件である。


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