1 概況


  昭和43年度の天候は,温暖な春にはじまつたが,夏季は低温で残暑もなく,東日本では秋の長雨が異常に長くつづいた。冬はやや暖冬傾向で,日本海側の積雪量は北日本をのぞいて,平年を下まわつた。しかし,太平洋側では2,3月,しばしば降雪にみまわれた。
  4月は全国的に高温で,北海道や西日本は雨量が少なく,特に西日本では,6月中旬まで干ばつ型の天候がつづいた。5月はわりあいおだやかであつたが,中旬,日本海低気圧により,日本海側にフェーン現象が起こり,新潟県見附市で大火があつた。また,青森県では13日から3日間に150mmの大雨があり,16日の十勝沖地震によるがけ崩れ発生の原因となつた。梅雨は前半は不活発であつたが,6月末から7月中旬にかけ,台風の影響で活発となり,西日本,東日本および日本海側の各地で,断続的に被害があつた。また,東日本を中心に雷雨活動が活発で,各地で降ひようがあつた。梅雨明け後,7月下旬は,一時順調な盛夏型天候となつたが,7月末には台風第4号が来襲した。8月は全国的に低温で涼しい夏となつた。なお,中旬には台風第7号により対馬海峡で漁船の遭難事故があり,また豪雨による土砂くずれのため飛騨川でバスの転落事故などがあつた。
  9月は残暑がなく,早冷秋早型となり,下旬には台風第16号が鹿児島県北西部に上陸,その後は秋の長雨が顕著となつた。10月は東日本を中心に秋の長雨が異常に長びいて,10月末までつづいた。九州以外は低温で,特に北海道では平年より15〜20日早い初雪があつた。11月にはいると好天が続き,太平洋側を中心に雨が異常に少なかつた。12月は全国的に高温多雨となつた。しかし,年末から年始にかけて,本格的冬型気圧配置となり,日本海側では大雪となつた。その後は2,3月と高気圧が北にかたよつてはり出し,南海上に前線が停滞するという傾向が強く,日本海測では散発的な大雪があつても長続きせず,北日本をのぞいて各地の積雪量は平年を下まわつた。一方,太平洋側では3月下旬まで悪天帳がつづき,関東を中心にたびたび降雪があつた。


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