2 異常気象
(1) 台風ならびに大雨
昭和43年(1月〜12月)の台風発生数は27個で,ほぼ平年なみだつた。上陸台風は,第4,10,16号の3個で,異常経路をとる台風が多かつた。第4号は7月28日高知県須崎市付近に上陸,その後西日本に長期間停滞し,大雨を降らせたが大きな被害はなかつた。第10号は8月29日薩摩半島に上陸,本土を縦断した。このころ日本南岸には前線が停滞しており,本土は8月25日から31日まで長雨となり,特に長野県伊那谷では29日雷を伴う大雨となり大きな被害があつた。第16号は9月22日夜半宮古島付近を通り,宮古島に大きな被害を与えたが,24日夜には鹿児島県北西部から九州に上陸した。九州,四国では24日朝から強雨となり,台風が衰えてからも前線の活発な活動により,四国,紀伊半島で大雨が続いた。また,24日宮崎県下にタツマキがあり,死傷者33人を出した。なお,8月16日対馬海峡を通過した台風第7号により,同海峡付近で漁船が大量遭難し死者57人を出した。また,この台風が温帯低気圧となつて沿海州を北上中,これに伴う前線が日本を縦断してゆつくり東進し,17日から18日にかけて中部日本を中心に集中豪雨を降らせた。特に岐阜県山間部では記録的な大雨となり,飛騨川ぞいの国道41号線で土砂くずれが起こり,おりから通行中の貸切バス2台が川に転落,死者104人の大惨事をひき起こした。
(2) 大雪
年末から年始にかけて日本海側の地方では,季節風による大雪があつた。その後,散発的な大雪があつたが長つづきしなかつた。一方,太平洋側では2月下旬からたびたび降雪があり,特に3月4日と12日,南岸低気圧の東進で大雪があつた。12日は東京で積雪30cm(3月としては気象庁開設以来第1位)を記録し,都心を中心とする交通網が大巾に混乱した。
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