2 工業品の増加と鉱産品の停滞


  44年度の主要品目の輸送動向をみると 〔1−1−7表〕に示すとおり,総輸送量は,林産品を除き大部分の品目で増加している。とくに,最近の重化学工業生産の著しい拡大を反映して,金属工業品や化学工業品などの工業製品の伸長が目立っている。金属機械工業品では,鉄鋼が各機関とも大きく伸びた。鉄道や内航海運では,鉄鋼専用車や専用船を整備し,輸送量を増大させている。化学工業品では石油が大幅に増加した。とくに,内航海運では31.3%増加して約1億トンとなり,内航輸送量における割合で31.1%を占めるに至った。セメントは自動車,鉄道で伸びなやんだのに対し,内航では専用船による大量輸送により大きな増加を示した。

  一方,輸送量のウエイトの最も大きい鉱産品では,投資関係資材である砂利,砂,石材が,ここ数年間20%以上の大幅な増加を続け,総輸送量増加の大きな要因をなしてきたが,44年度においては鉄道,内航海運では減少し,自動車ではほぼ横ばいにとどまつた。
  石炭は,国内生産量の減少にともない,輸送量が減少している。鉄道では品目別割合でなお第一位を占めているが,12.6%の大幅減少となつた。内航海運でも5.3%減となり,トン数のみならずトンキロにおいても,石油,鉄鋼にその地位を譲つた。
  その他の品目では,鉄道におけるコンテナによる雑貨輸送の伸びが著しく,輸送量は前年度に比べ28.0%増加したことが注目される。


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