3 フレートライナーの開設と長距離化するカーフエリー
今日進行しつつある貨物輸送近代化の動きは,小口貨物のユニツト化による生産者から需要者までの協同一貫輸送,大量物資については,物資別に最も適合した輸送手段による専用輸送という二つの流れに沿つている。
協同一貫輸送における最近の動向としては,まず鉄道のもつ大量高速性と自動車の持つ機動力を組み合わせ,戸口から戸口へ輸送するフレートライナーの実施があげられる。
国鉄は物資流通密度の高い東海道,山陽の太平洋ベルト地帯の輸送力の拡大のため,大型コンテナを使用したフレートライナーを,東京-大阪間(44年4月),東京-名古屋間(44年10月),東京-北九州間(45年4月)に開設した。
44年度における東京-大阪間,東京-名古屋間のフレートライナー扱いコンテナ輸送個数は22万個で,全コンテナ輸送個数の15%を占めた。またこれは前年度の同区間の一般コンテナ輸送欄数に比べ32.7%の増加で,他のフレートライナー化していない区域のコンテナ輸送個数の平均伸び率20.5%を上回つている。
つぎに,新しい輸送体系として,長距離フエリーが注目されている。カーフエリー輸送に対する需要は,近年の自動車輸送の発達を背景に,貨物,旅客の双方で伸びており,40年に航送人員550万人,航送自動車数350万台であった輸送実績が,44年には2,910万人,960万台と大幅に伸びた。従来のフエリー航路は比較的短距離で,陸上路の補完的なものとして,離島航路,湾内短絡,幹線連絡航路として整備されてきたが,43年度に小倉-神戸間(452km)に,陸上の幹線道路,幹線鉄道と並行する長距離フエリーが登場し,さらに44年度には,大分-神戸間(362km),東京-苫小枚間(1,026km貨物専用フエリー)が開設された。このほか10数航路に免許申請があいつぎ,本格的フエリー時代を迎えつつある。
大量物資輸送については,各輸送機関において,品目別に最適合輸送手段を提供する専用輸送化が推し進められている。国鉄では,自動車積専用貨車,鉄鋼輸送用適合貨車等の専用貨車の増強がすすんでいる。内航海運においても,船舶の大型化,専用船化が促進され,セメント,LPG,石灰石,自動車等大宗貨物輸送の伸びに対応して専用船の建造が進み,油送船を含めた専用化の比率は45年3月末で船腹量にして49.3%に達した。
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