1 輸出貨物輸送


  44年のわが国の輸出は,159億9,000万ドル,3,683万トンで,このうち邦船による輸送量は1,430万トン,横取比率は38.8%であつた。
  米国向け輸出(49億5,800万ドル)は,金額でわが国輸出全体の3割を占め,わが国の定期船活動および国際航空貨物輸送活動が最も活発な分野である。主力商品である鉄鋼が自主規制により鈍化を赤したが,機械機器は前年に続いて順調であったため,対米輸出は金額で前年比21.3%増と好調であつた。このような需要増大を背景に,わが国の対米定期船活動は総じて好調であつたが,米国の港湾労働争議北米港湾料率の引上げによる荷役費の値上りなどは負担増となつた。43年8月に日本/カリフオルニア州航路にわが国はじめてのコンテナ船が投入されて以来, 〔1−2−5図〕のように往航はほぼ満載状態を継続して非常に好調であり,復航も次第に積載率が向上してきている。
  45年5月に日本/シアトル・バンクーバ航路にわが国のコンテナ船が就航し,また,47年には日本/ニユーヨーク航路にコンテナ船が投入される予定であり,対米定期船活動は急速にコンテナ化されつつある。

  わが国の対米航空貨物輸送活動も活況を呈し,太平洋線においては,前年より週3便増加した週9便の貨物便が運航されている。
  西欧向け輸出(20億5,900万ドル)は,金額で前年比24.1%の伸びを示した。西欧向けのなかでも,とりわけEEC向け輸出(9億6,800万ドル)は,金額で前年比41.0%増という大幅な伸びとなった。EEC向け輸出では,とくに鉄鋼が3.7倍に激増し,化学品,繊維製品とも大幅に増加し好調に推移した。このように西欧向けの輸出が目立つて伸びたため,日本/欧州航路におけるわが国の定期船活動は,往航はほぼ満載状態を継続した。また,日本/欧州航路には,46年にわが国のコンテナ船が就航する予定である。航空貨物においても,西欧向けが大きく伸び,北廻り欧州線において,フランス,西ドイツ両国との共同運航の形で,貨物専用便をあらたに週2便開設し,需要増大に備えた。
  東南アジア向け輸出(44億4,800万ドル)は,前年比23.1%増と大きく伸びた。これは,44年上半期において,東南アジア各国の外貨事情がわりに良かつたこと,工業化が徐々に進展してきて需要が高まったことなどによるものと考えられる。国別では,インドを除きおおむね各国とも好調であつたが,44年下半期はベトナム共和国,タイ,フィリピン等外貨事情の悪化等を理由にして輸入規制を実施する国があり,10月以降の東南アジア向け輸出はかなり増勢が鈍化した。そのため,44年上期にはわが国の東南アジア向け定期船活動は総じて活発であつたが,下期にはやや落ち着き気味となつた。
  オーストラリア向け輸出(4億7,500万ドル)は,前年比14.2%の伸びを示し,わが国の豪州航路における定期船活動も,自動車輸出の荷動きを中心に順調に推移した。44年10月には,豪州航路において,わが国のコンテナ船が運航を開始した。


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