1 経営の合理化


  コンピューターは経理,労務,営業等の各部門における各種の計算,データの保存,データの分類・分析・集計による資料・統計の作成,運賃請求書等の書類の作成等,従来の手作業にかわり広範囲に利用されている。これらは殆んどの企業で給料計算,販売計算,在庫管理等にみられる利用のされ方であるが,ある鉄道会社の事務処理における利用状況をみると, 〔2−2−2表〕のとおりとなっている。

  また,ある海運企業では,毎月の収支要約表,期末の決算報告書,運航する船舶の航路別・部門別・各船別の航海収支採算実績表,営業に関する諸統計,銀行・官庁へ提出する報告書等,各種の経営管理的な基礎資料が日常の業務処理をベースにしてすべてがコンピューターによって一貫処理されており,コンピューター化された部門では過去6年間に業務量は2.5〜3倍に増加したにも拘らず,当該部門は人員増は全くみられず,労働の質的経済的節約が可能となった。
  このほか,中小企業においては,経営の近代化を進める手段として,共同計算センターの設立を進めている業種もみられる。
  運輸企業において合理化が進められる一方,運輸省においてもコンピューターの導入により業務の合理化,効率化を推進している。45年6月より開始された自動車検査登録のデータ通信システムもその1つである。わが国の自動車登録台数は急増しており,自動車の検査登録業務は,従来の人手による処理方法では処理が困難となってきた。このため,全国65の陸運事務所・支所と東京の自動車登録センターをオンラインでむすび,自動車の検査登録業務を即時処理することとした。このシステムの導入により,業務の迅速化・省力化が図られるほか,今後犯罪捜査など多角的な利用も予想される。


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