2 民営鉄道
大手私鉄,交通営団および公営地下鉄のここ数年における輸送力増強等の投資実績は, 〔I−(I)−13表〕のとおりである。44年度の投資実績額は,2,128億円で対前年度比0.1%減とほぼ横ばいの投資実績に終つた。特に大手私鉄については,年初計画1,235億円の投資計画に対し,投資実績は889億円と計画達成率は72%にとどまり,対前年度比でも0.7%減になつている。ここ数年の投資動向からみればかなりの投資停滞であり,これは最近数年における収支悪化が大きく影響した結果と思われる。
また,地下鉄関係については公営地下鉄が854億円で対前年度比1.1%の微増にとどまったほか,交通営団が3艇億円で対前年度比1.3%と減少している。しかしこれは43年度の数値が,42年度にとられた財政硬直化による支払繰延べ措置の結果生じた異常値であり,実質投資額ではここ数年の傾向どおり漸増となつている。
大手私鉄では,従来よりひき続き計画的に輸送力増強工事及び運転保安工事を推進中であり,輸送力増強工事として都心乗入れ新線建設工事,複々線化,複線化による線増工事,ニユータウン等への乗入れ新線建設工事,列車編成長増大のためのホーム延伸工事,車両増備等を,また,運転保安対策工事としては高架化地下化,踏切道の立体化,踏切しや断機警報機の新設改良,自動列車停止装置の設備,線路の重軌条化等の工事を行なつている。
地下鉄関係については,交通営団および公営地下鉄が都市交通審議会の答申に基づいて東京および大阪が昭和50年,横浜および名古屋が昭和60年を整備目途に,また札幌市については,47年2月に行なわれる冬季オリンピツクの開催時を完成の目途にそれぞれ工事を推進しており,都市交通の緩和を図ることとしている。
44年度に完成した主な大規模工事をあげれば, 〔I−(I)−14表〕 〔I−(I)−15表〕のとおりである。
なお,都市鉄道の相互乗入れ状況も上記工事の進ちよくに伴い, 〔I−(I)−16表〕に示すように整備されつつあり,今後も郊外鉄道と地下鉄との相互直通乗入れを積極的におし進めることにより,乗換えの不便及びターミナルの混雑緩和を進めることとしている。
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