3 運賃改定による影響と増収状況


  国鉄は財政再建の一環として自己資金確保のため,公共負担の是正を含み,44年5月10日から旅客運賃を中心として平均15%の運賃改正を行なうとともに,併せて旅客の需要動向の質的変化,サービス水準の向上等を考慮して,従来の1等旅客運賃・料金制度を廃止してグリーン料金制度を採用する等,運賃料金制度の合理化を行なつて積極的な旅客誘致に努めた。
  その結果こうした運賃改定にもかかわらず在来線の急行利用客等優等列車の利用旅客については,43年10月の輸送改善による効果もあつて依然増加傾向(対前年増加率,特急25.8%,普通急行1.4%)を示しており,また,国電利用旅客については,伸び率は若干鈍化しているものの特に著しい変化はなかつた。
  また,今回,新設されたグリーン料金制度により,従来に比べてグリーン車利用の場合の運賃・料金合計額は普通車利用の場合に対して,約2倍から1.7倍程度に低くなったこと等の制度改定の効果によって輸送人員は著しい増加を示し,前年に比べ28%増と高い伸び率を示している。
  以上のような状況にかんがみ,国鉄は輸送環境の変化に対応する施策を推進してきたが,その結果44年度の旅客収入(荷物収入を含む)は,7,602億円で前年度実績に比し,18%増の1,167億円の増収となつた。
  対前年度増収額のうち,運賃改定による増収額は,当初予定910億円に対し,改定の実施時期遅延による減収104億円のほか,改定による需要減64億円計168億円の収入不定が生じ,当初予定額の82%の増収にとどまつた。


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