2 国鉄ローカル線対策


  国鉄のローカル赤字線問題については,わが国の産業構造の変化,人口の過疎化及び道路交通の進展による自動車の発達等に伴つて,ローカル線の経済的,社会的背景が構造的な変質を来たした結果,その鉄道としての使命が失なわれつつある。
  昭和43年11月,国鉄財政再建推進会議から道路輸送への転換が適切と認められる線区は極力転換を促進すべしという意見書が提出され,44年8月,日本国有鉄道財政再建促進特別措置法(44.5.8公布)に基づき,日本国有鉄道の財政の再建に関する基本方針が閣議決定を見,この中で道路輸送への転換が適切と認められる線区は,地域の実情について十分考慮をしたうえで極力その転換を促進すべきこととしている。これより先,43年9月,国鉄総裁の諮問機関である日本国有鉄道諮問委員会から83線区2,600キロについて国民経済的にみて自動車輸送を有利として地元の便益性を十分確保する見通しのうえで速かに転換すべきであるとの意見書が提出されている。
  この勧告による83線区の営業キロは,全営業キロの12.5%をしめ,輸送量の伸びは極めて短かく,運賃値上げにもかかわらず経営成績は 〔I−(I)−33表〕のとおり,ますます悪化の傾向にあり,国鉄財政に大きな負担となつている。

  以上のような観点から,国鉄ローカル線対策については,国鉄財政再建基本方針により国民経済的観点及び当該地域の実情等から利用者の便益の確保に万全を期しつつ,その転換を推進するものとしているが,道路輸送への転換については,地域社会に及ぼす影響も重大であるので,各線区の外部環境(道路の整備状況,鉄道輸送への依存度,輸送需要,人口,産業の動向,地域開発の動向)等について国が十分調査して対処する必要がある。


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