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1 フエリー事業の概況
フエリー航路は,30年に5航路を数えるに過ぎなかつたが近時における自動車交通の発展に伴つて急速な成長を示しており,44年には 〔II−(I)−33図〕のように143の航路(定期航路127,不定期航路6,貨物フエリー航路10)において284隻10万3,500総トンのフエリーボートが就航し,年間960万台の車両を航送するに至つている。
これらをその性格により分類すると@本州と四国,九州,北海道間あるいは四国と九州間を結ぶ幹線的な航路,A湾の入口の2点間を結ぶ短絡航路,B本土と離島間,北海道,四国,九州と離島間あるいは離島相互間を結ぶ離島航路C道路や鉄道と並行して中・長距離をバイパス的に結ぶ中・長距離航路に分けられる。
就航船舶は,長距離フエリー用に5,000〜1万総トン級のものが就航しているが,全体の半数以上は100〜500総トンのものにより占められており,航路の距離は,10〜30キロメートルのものが多い。
フエリーの利用状況については,44年10月22日に全国の109航路において行なつたフエリー利用実態課査の結果でみると 〔II−(I)−34表〕のように,1日にフエリーを利用した自動車は,2万4,450台でこのうち営業車は24.5%を占めている。車種別構成では,乗用車29.9%,バス3.3%,トラツク44.5%,その他22.3%となつている。フエリーを利用した自動車の発着地はかなり広範囲にわたつており,たとえば青函ルートを利用した自動車の発着のない県は全国で13県に過ぎず,その発着は九州の福岡,宮崎,四国の愛媛,高知の各県にまで及んでいる。つぎに利用目的を主な車種についてみると,普通乗用車では業務が54%と過半数を占め,次いでレジヤー33%が多く,普通貨物車では路線トラツクが7.5%あり,貨物用車種については20〜25%もの空車利用がある。
フエリー事業は,トラツクの航送を通じて貨物輸送も行なうことになるので内航海運業と競合関係を生ずることが予想される。しかし,内航海運事業の利点は,大量長距離輸送による輸送コストの低廉性であり,従来の橋の代替としてのフエリー輸送についてはその輸送距離が短く貨物の輸送単位も小さいことからほとんど競合関係は生じていない。長距離フエリーについては,近時運賃負担力の高い雑貨が輸送コストの低廉性よりも迅速性,即応性等の便益性を優先し,内航海運輸送分野から陸上のトラツク輸送の分野へ転移しており,これをトラツクによる陸上輸送の経費よりも安く海上で輸送しようとするものである。したがつて,直接的には内航海運業とトラツク運送業との間に競争関係は生じても長距離フエリー事業との間に競争関係はないものと考えられる。しかし,今後内航海運業の一態様としてコンテナ専用船が普及した場合,機械製品,電機製品,雑貨等の輸送分野で一部競合関係が生じるものとみられている。
フエリーによる自動車航送については,通常の旅客輸送と異なりその発着港におけるモータープール,自動車の乗下船のための可動橋等の施設を必要とするが,フエリー事業が最近にいたり急速に発展したため,港湾施設の整備が立ち遅れている。今後,フエリーターミナルの整備を早急に進めなければならないが,その際は,港湾計画および港湾周辺の道路計画と調和のとれたものにする必要がある。
近年,LPG,灯油等の需要が増大し,島しよ部に対するこれらの輸送がフエリーにより行なわれる度合が年々増加している。現在ガソリンは,旅客をとう載したフエリーで輸送することが禁止されているが,LPGおよび灯油については,一定の制限のもとにタンクローリーにとう載して旅客フエリーにより輸送することが許されている。そこで,ガソリンについてもタンクローリーにとう載して旅客フエリーで輸送する要望が多く出ているが,その安全性の確保について種々の問題があり今後の研究課題である。
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