2 長距離フエリーの動向


  昭和43年8月,陸上の幹線道路や幹線鉄道と並行して小倉/神戸間452kmを結ぶ長距離フエリーがわが国ではじめて開設され,長距離フエリー時代の第一歩を踏み出すこととなつた。さらに,44年に入り芝浦(東京都)/苫小枚間1,020km間に貨物フエリー航路が開設され,続いて45年に入り大分/神戸間362km等にも長距離フエリーが開設された。また,川崎/細島(宮崎県)間887km・東京/神戸間698km等において免許を受けた事業者が航路開設の準備を進めている一方,全国の主要地区を結ぶ十数航路に免許申請が相次いでおり,本格的な長距離フエリー時代に突入しようとしている( 〔II−(I)−35図〕参照)。
  この長距離フエリーは,従来のフエリーが鉄道や道路の補完的なものとして,いわば「動く橋」としての機能を果たしていたのに対し,いわば「動く道路」としての役割をもち,自動車と船舶を結合させた協同一貫輸送の花形ともいえよう。長距離フエリーは,個々の利用者に対して経済的につぎのような利点があると考えられている。@陸上を走行する場合と同様な運転手数を必要とせず,運転手不足の解消に投立つと同時に,人件費を節減させる。A混雑している道路を回避することにより,輸送時間を短縮させ,自動車の運行時間を正確にする。Bロールオン・ロールオフ(自動車の自走による乗下船をいい,従来の貨物をクレーンで積み降ろしするリフトオン・リフトオフに対比される。)という荷役方式をとることにより,港湾における荷役費の大幅な節減を可能にするほか,荷物の損傷を減少させ,荷役時間を短縮する。C自動車の整備,維持費を節約する。このため,長距離フエリー利用の場合は陸上走行の場合よりも輸送コストが低くなるものと予想され,ルートによつては総輸送時間そのものも短縮されることから,今後,長距離フエリーの利用が増大するものと見込まれており,とくに,乗用車輸送については,小倉/神戸間の輸送実績中乗用車の占める割合が予想外に大きく,この分野において,新たな需要の開拓が行なわれるものと期待されている。また,長距離フエリーの開設は,道路混雑を緩和し,交通事故減少の一助となる。生産地と大消費地とを直結することにより生鮮食糧品等の物価の安定に資する。観光適地等と大都市とを自動車を媒体として結合することにより地域開発の有力な手段となる等の社会的メリツトも有している。そこで,機動性のある自動車と低廉な海上輸送を組み合わせた新しい輸送手段であるこの長距離フエリーを目下整備の進められている高速道路網や国鉄のフレートライナー,また,内航海運におけるコンテナ専用船の就航等と調整をとりつつ総合交通体系の一環として整備を図ることが今後の課題である。


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