2 労働時間


  商船の船員と漁船の一部の船員には法令によつて特別な場合を除き航海中の労働時間は週56時間以内,停泊中の労働時間は週48時間以内と定められており,これをこえる時間外労働時間については時間外手当を支給しなければならないことになつている。
  船員の労働保護の観点から注目を要する時間外労働の動きを,汽船の全船員平均と時間外労働の多い一等航海士についてみると 〔II−(II)−17表〕のとおりである。
  「全員」は,外国4区を除きいづれも前年より増加しており,とくに内国及び外国1区が著るしい。
  「一等航海士」は,内国及び外国1区が著るしく増加したが,外国2区では横ばい,外国3区及び外国4区では減少している。
  近海1区では42年45.3時間(一般72.9時間)から,43年には35.7時間に減少したものの再び増加を示しており,内国の増加傾向ともあわせると,内航海運業者の近海進出が目立つようになつたこの時期において船員需給における隘路及び配船の不馴れとが相まつてこのような増加を示したものと思われる。
  「全員」は,外国4区を除きいづれも前年より増加しており,外国4区における時間外労働の減少は,コンテナ船の投入による時間外労働の合理化が原因とみられる。


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