1 法令の整備


  海上労働の特殊性を考慮して,陸上労働を対象とする労働基準法とは別に制定されている船員法の漁船乗組員に対する適用範囲は,従来原則として20トン以上の漁船乗組員であつたが,近年の小型船の運航実態等にかんがみ,これらの乗組員に船員法を適用し,より実態に則した保護を図る必要があるため,原則として5トン以上の漁船乗組員に船員法を適用するとこができるように,第63回特別国会で船員法の改正が行なわれた。
  この改正によつて,新たに漁船約1万隻及び漁船員約5万人が船員法の適用対象となり,陸上の労働基準法には見られない船の航行安全のための船長の職務,権限及び船内紀律,雇入契約にかかる公認制度船員手帳受有制度,船主の食料支給義務,健康証明書制度,行方不明手当の支払等海上で働く船員のためのきめの細かい保護を受けることになる。
  なお,この改正の実施は,対象漁船主,船員が零細小規模であるため,一挙に行なわずに段階を分けて行なうこととしている。


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