1 港湾の利用および管理の状況


(1) 港湾取扱貨物量

  44年に全国の港湾で取扱われた貨物量は,対前年伸び率18.8%という高い増加を示し 〔II−(III)−1表〕に示すように16億1,500万トン(暫定値)に達した。

  また地域別の港湾取扱貨物量の推移を 〔II−(III)−2表〕に示す。外貿貨物では関東の占める割合が大きく,内貿貨物では近畿,中国,四国の占める割合が大きい。43年に東京湾,大阪湾,伊勢湾で取扱われた貨物量(内,外貿貨物計)は,全国のそれぞれ19.8%,12.4%および7.1%であり,これら3湾で39.3%を占めることになつた。

  なお43年の港格別港湾取扱貨物量(内,外貿貨物計)は,特定重要港湾が全国計の52.8%,重要港湾が31.6%,そして地方港湾が15.6%を取扱つた。
  外国貿易貨物においては,鉄鉱石,原油等の重化学工業の原材料および木材の輸入分が大宗を占め,43年には上記3品目で全輸入貨物量の65.5%を占めた。また,内国貿易貨物においてはカーフエリー貨物量が著増しており,43年には内国貿易貨物量の25%を占めた。輸入貨物に占める大宗品目貨物量および内貿貨物量に占めるカーフエリー貨物量の推移を 〔II−(III)−3図〕, 〔II−(III)−4図〕に示す。

(2) 入港船舶

  入港船舶の隻数と総トン数および入港船舶のうち1万総トン以上船舶の占める割合の推移を 〔II−(III)−5表〕に示す。44年の全国の港湾における入港船舶の隻数は,40年以降約5%の増加に過ぎないが,総トン数では最近における船型の大型化の傾向を反映して40年の約55%増となつた。とくに船型10,000総トン以上の入港船舶の累計総トン数が,全入港船舶の累計総トン数に対して占める割合は増加の一途をたどつており,40年には14・7%であつたのが43年には20.0%まで増加した。

(3) けい留施設の不足

  港湾取扱貨物量は,年々著しい増加を示し,44年の総貨物量16億1,500万トンは,第3次港湾5カ年計画(44年3月閣議決定)の目標年次である47年の想定貨物量15億3,000万トンを上まわることとなつた。このためけい留施設の建設,整備は増大する貨物量に追いつかず,けい留施設の不足は依然として解決されていない。とくにわが国の代表的な外国貿易港湾である横浜港,神戸港等でこのような傾向が強く,主要5港(東京,横浜,名古屋,大阪,神戸港)における,けい留施設不足による入港船舶の滞船状況は 〔II−(III)−6表〕に示すとおりとなつている。44年における入港船舶総隻数のうちバース待ちをした船舶隻数の割合は,10.4%で前年に比し,若干減少したが,一方バース待ち船舶の1隻当り平均待ち時間は約40時間で前年に比し約6時間の増加となつている。


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