1 倉庫業の現状


(1) 営業倉庫の現状

  昭和44年度は,倉庫業は順調な伸展をみせ,入庫高,保管残高とも前年度にひき続き大幅に伸びた。

 イ 普通倉庫

      昭和44年度の入庫量は,8,305万トンで対前年度伸び率は11%であつた。年間月末平均保管残高は,1,339万トンで,前年度平均を115万トン(9%)上回つた。

      品目別にみると 〔II-(III)-28表〕のとおりであるが,鉄鋼,電気機械,化学製品の伸びが著しいのに対し,従前の大宗貨物であつた米麦の減少しているのが注目される。
      昭和44年度も普通倉庫業者は大幅に増加し,全国で154者が,新規許可を受けたが,倉庫業を廃止したものが2者あり,結局純増は152者となつた 〔II-(III)-27表〕

      新規許可を受けた業者中倉庫業を専業とするものは41者であるのに対し,運送業者から進出したものが55者,販売業者から進出したものが32者あり,物的流通部門からの進出が目立つている。

 ロ 冷蔵倉庫

      冷蔵倉庫の入庫量は489万トンで対前年度伸び率は11%であつた。年間月末保管残高は75万トンで対前年度伸び率は7%であつた。
      品目別では冷凍魚介,畜産品および農産加工品の伸びが目立ち,鮮魚介が減少している。
      冷蔵倉庫業の昭和44年度中における新規許可業者は39者であつたが,営業を廃止した者が2者あり,純増は37者となつた。

 ハ 水面倉庫

      入庫高は,670万立方米で対前年度伸び率は14%であつた。年間月末平均保管残高は100万立方米で対前年度伸び率は4%であつた。
      木材の消費量も年々増加の趨勢にあり,その大半を輸入にたよつている現状からみて,今後も保管需要の増加が見こまれている。
      44年度中における水面倉庫業者の新規許可は4件であつた。

(2) 営業倉庫の整備状況

  44年度における庫腹の増加は 〔II-(III)-29表〕にみるとおり,普通倉庫114万平方米,冷蔵倉庫35万4,000立方米,水面倉庫24万1,000平方米となつている。これは対前年度比,それぞれ,12%,7%,6%の伸びであり,営業倉庫の庫腹が著実に伸びていることを示しているが,倉庫の利用率をみると,普通倉庫74%となつており,適正利用率とされている65%を上回つた保管が行なわれている現状である。

  昭和40年8月,運輸省が策定した倉庫整備5カ年計画は42年10月時点において計画と実状に相当のズレが生じたため,第2次倉庫整備5カ年計画が作成された。すなわち,輸入穀物,特に飼料用穀物の伸びが大きく,計画を大幅に変更する必要が生じたこと,コールド・チエーンの進展に伴ない冷凍食品の保管需要がきわめて旺盛で,将来の庫腹整備必要量の改定が必要となつたこと,流通団地整備計画の進展状況に応じた計画の手直しが必要となつたことなどによるものである。この計画によれば47年度末までの5カ年間に普通倉庫400万平方米,冷蔵倉庫210立方米を整備する必要があるとしているが,庫腹の順調な整備にもかかわらず適正利用率を上回つた保管が行なわれている現状は,庫腹整備が保管需要に追いつかないことを示している。
  これらの倉庫整備を促進するため 〔II-(III)-30表〕のとおり開発銀行,北海道東北開発公庫,中小企業金融公庫等,政府関係機関からの融資が行なわれているほか,税制面での優遇措置もとられているが,今後の増大する保管需要に対処し,庫腹整備を積極的に進めていくためには,なお一層の助成措置が望まれる。


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