2 倉庫業の近代化
(1) 近代化の現状
倉庫業は,その90%以上が中小企業者であり,普通倉庫業者の約40%が倉庫所管面積が1,650平方米(500坪)以下,冷蔵倉庫業者の約60%が倉庫所管容積が2,000立方米(800トン)以下という現状にある。このように倉庫の規模が過小であるために,倉庫スペースの効率的な使用および荷役の機械化を困難なものとし,倉庫業の低生産性とあいまつて,物資流通の円滑化を阻害する原因ともなつている。
普通倉庫業については,昭和40年に中小企業近代化促進法に基づく近代化指定業種となり,昭和42年2月,普通倉庫業の中小企業近代化基本計画が策定され,44年度はその第4年度目に当るが,企業適正規模化,荷役の機械化,企業構造の高度化,流通業への脱皮等の近代化の目標達成への努力がなされてきた。しかし,荷役の機械化による入出庫作業の迅速化および事務機の導入による事務処理の正確化,合理化にはかなりの成果をあげたものの,事業協同組合による倉庫の共同建設,共同荷役,共同集配,計算事務の共同化等事業の協業化,共同化については所期の目的を達成するに至つていないのが現状である。しかも,中小企業近代化促進法に基づく普通倉庫事業の近代化計画期間は46年3月末をもつて期間満了となり,倉庫業者に対する優遇措置は消滅することになる。したがつて,今後は業界の自主的,組織的な近代化を進める必要があり,その一環として中小企業近代化促進法の構造改善制度に移行することも考えられる。
冷蔵倉庫業については,43年7月に中小企業近代化基本計画が策定され,44年度における実施計画として保管体制の整備,近代的な冷凍設備の導入,荷役の機械化,倉庫建物の新増設および代替建造の促進,モデル倉庫に関する研究会の設置等が設定された。また,これらの近代化を推進するための機関として44年3月に冷蔵倉庫業近代化中央推進協議会が設置され,現在までに,関東地区1,東海地区1,北陸地区1,近畿地区1,中国地区1,九州地区1と全国で6つの地方近代化促進会が結成され,それぞれ活動を開始した。
(2) 倉庫料金体系の合理化,適正化
前述のごとく,この数年来庫腹増強の必要性が問題とされているが,倉庫業はその公共性ゆえに現行保管料は,普通倉庫については39年11月改定されて以来,また冷蔵倉庫については36年7月に一部改定が行なわれて以来,据え置かれており,新設倉庫の採算割れ,金利負担の増大等とあいまつて新規設備投資をますます困難ならしめているとともに近代化諸施策を遂行するうえでの障害ともなつていた。また現行料金体系についても制度確立以来十数年を経過し,倉庫業においてもその機能の質的変革を要請された。したがつてこれらの変化に対応した料金体系の合理化,すなわち,普通倉庫における品自分類の簡素化,貨物の荷動きの迅速化に対応した期制への変更,従価,従量併用制における従価率の縮小ならびに級地制の再検討,また,冷蔵倉庫においては,保管温度別による現行4段階料金体系を現状に即した体系に改めることが課題とされた。これら料金改定をめぐつて44年以来事業看団体と荷主団体との間に折衝が続けられた結果,荷主団体との間に了解がつき45年7月1日付けをもつて届出がなされ,8月1日から新料金が実施されることになつた。
今回の保管料改定により従来と変つた点としては,普通倉庫については品目分類が整理された結果108品目が86品目になつたこと,保管料計算期間が月2期制から3期制に変更されたこと,従価率割合を縮少としたこと等であり,冷蔵倉庫については従来のSA,A,B,C級の4段階料金体系をF級およびC級の2段階料金体系へ段階的に改定していくこととなつた。
なお,今回の料金改定による増収率は普通倉庫については19%,冷蔵倉庫については11%と見込まれている。
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