3 倉庫業と流通問題
(1) 物的流通の改善と営業倉庫
物的流通コストの節減と輸送の円滑化を目的とする物的流通改善の方向は,倉庫業に対し,従来の保管倉庫としての任務に加えて,在庫管理,輸送,流通.加工,情報提供等の機能を備えた流通倉庫への質的変革を要請しつつある。すなわち,物的流通機構の合理化,近代化の要請は,倉庫業を流通過程のなかでの単なる保管の役割から,常時正確な在庫量を把握し,需要者に対する迅速,確実なる商品の配送を行なうとともに商品の流通にともなう仕訳,梱包,軽度の加工および荷主メーカーに対する適確な情報の提供などその活動範囲を拡大化する傾向にある。
これら流通倉庫ヘの動きは,一貫流通体制の確立および物資別適合輸送体系の確立といつた輸送体系の変革に対応する倉庫業者の総合流通業への脱皮を期待させるものである。
(2) 流通団地への営業倉庫の進出
「流通業務市街地の整備に関する法律」が制定施行されて以来東京,大阪,札幌,仙台,川崎,名古屋,広島,福岡など,主要都市に流通団地造りが行なわれ又は計画されているが,これら流通業務市街地法の指定都市以外の地方都市においても流通センター計画の動きが目立つてきた。しかし,これら流通団地の建設には用地の確保等問題が多く,計画どおり進展していないのが実情である。またすでに完成した流通団地においても,卸売業者,倉庫業者,運送業者などその営業分野が明確でなく,流通団地の総合的,有機的な機能が十分発揮されていないのが現状である。
44年春着工以来その完成がまたれていた東京京浜2区団地倉庫は45年6月1部5万平方米が完成し,操業の運びとなつた。残りの1棟も本年中に完成が予定されており,その完成の曙には全体で11万6,000平方米に達し,これにより東京都における営業倉庫の庫腹は約二割増強されることになつた。
なお,同団地倉庫進出会社のうち,全国倉庫事業協同組合加盟9社による倉庫の共同利用は,事業の協業化を目的としたものであり中小企業近代化の方向を示すものとしてその成果を注目したい。そのほか,板橋,足立,葛西,西南各地区への団地倉庫進出の計画がもたれている。
|