1　新造船建造量

　　世界の新造船建造量(進水量)は,1959年から1963年まで毎年800万総トン前後で低迷を続けたが,1964年以降は海運市況の好転と世界貿易の着実な進展による海上荷動きの増加により,撒積貨物船・鉱石貨物船等を中心に毎年大幅に伸びてきた。
　　その中で油送船の全体にしめるシエアは1967年の31%から1969年には48%(933万総トン)になつた。
　　これは,1967年6月のスエズ運河閉鎖を主因として大型油送船の需要がふえ,日本,西ドイツ等において油送船建造が増加したためである。
　　次に,この進水船舶を船型別にみると,その大型化傾向が顕著に現われている。すなわち,5万総トン以上の船舶の進水量を例にとると,1965年19隻,1966年40隻,1967年59隻,1968年82隻,1969年102隻と増加しており,そのほとんどが油送船である。
　　国別進水量は 〔II−(IV)−１図〕のとおりで,日本は1956年以来連続14年間世界の首位を占めており,特に1964年以降の世界進水量の大幅増加に決定的な役割を果たして来た。すなわち,日本は,1958年から1963年までの世界的な海運不況の時代には,毎年200万総トン前後の進水量であつたが,世界的大量建造ブームの波に乗つて,1964年以降毎年伸長をみせ,1969年には930万総トンとなつた。

　　日本の進水量は,ここ数年,世界総進水量のほぼ半分を占めている。
　　わが国に続く造船国としては,西ドイツ,スウエーデン,英国等がありこれらの国の進水量は毎年100〜160万総トン前後であるが,ここ数年日本を除く世界進水量は毎年10%前後の伸び率を示している。
　　また,1969年に50〜80万総トン前後の進水量を記録した造船国としては,順にフランス,ノルウエー,デンマーク,オランダ,スペイン等があるが,うち,スペイン,オランダは急ピツチに進水量を増加させている。

表紙へ戻る 次へ進む