3 監視取締り体制
海上保安庁は,海事関係者,漁業関係者等に対し,油濁防止法を遵守させるための指導と違反の取締りに関する講習会の開催,海水の油濁の防止を主旨としたポスター,手引書の配布等により海上公害防止のための指導と防犯思想の昂揚を図るとともに,監視取締り体制の万全を期するため,水産庁関係機関のほか地方公共団体,漁業関係団体,海事関係団体等に対し,海水油濁事犯の監視および発見した場合の通報等について協力を依頼し,官民協力による海水油濁の防止に努めた。また海水油濁事件の多発するおそれのある東京湾・伊勢湾・大阪湾・瀬戸内海等の海域に重点を置いて巡視船艇,航空機を効率的に運用し,随時積極的な取締りを実施し,44年には159件を検挙した。特に,海水浴シーズンである7月26日から8月4日までの10日間海水汚濁特別公開取締りを全国的に実施し,その防犯措置を講じた。
しかしながら,広大な海域における油濁事犯の防止,取締りの実効を期するためには,取締り要員の増強,巡視船艇,航空機および取締り用機器の整備が必要であり,また,証拠物の鑑定識別のための研究体制の整備も検討する必要がある。
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