2 わが国の国際協力の現況
(1) 国際民間航空機関(ICAO)との関係
ICAOは昭和19年シカゴで制定された国際民間航空条約(シカゴ条約)に基づき設立された国連の専門機関であり,国際民間航空の安全で秩序ある発達および国際航空運送業務の健全かつ経済的な運営を図ることを使命としており,世界の民間航空において大きな役割を果している。
わが国は,28牢10月ICAOの第61番目の加盟国となつたが,45年6月現在で加盟国は119カ国に達している。なお,ソ連は加盟していないが主な会議にはオブザーバーを出席させており,その加盟が期待されている。
わが国は,31年はじめて理事国となり,以後3年ごとに行なわれる理事国選挙で引き続き理事国として選出されている。43年アルぜンチンで開催された第16回総会では,航空運送において最も重要な国を代表する理事輿にはじめて選出された。
さらに,理事会の補佐機関である航空委員会にも34年以来委員を送つている。
上記理事会および航空委員会は,常時開催されているが,専門的な問題の検討には随時専門部会等の会議が開催されており,過去1年間にわが国が参加した主な会議は,第17回ICAO総会,第17回法律委員会航空機騒音特別会議第5回統計部会,北大西洋地域航空会議等である。
イ 第17回ICAO総会
本会議は昨年のスイス航空機事件を契機として欧州民間航空会議(ECAC)に属する諸国,オーストリア,ベルギー,デンマーク,ドイツ,オランダ,ノルウエー,スペイン,スウエーデン,スイス,イギリス,フインランドの11カ国の要求により,45年6月16日から30日まで,カナダのモントリオールで開催された。
ハイジヤツキング等民間航空機に対する不法妨害行為の防止について,技術的な面,犯人の処罰等についての面等より検討され各種防止策のほか,国際民間航空に対する暴力行為を糾弾する宣言,民間航空機の不法奪取防止に関する条約早期批准勧告決議,乗取り以外の国際民間航空に対する不法妨害行為(いわゆるサボタージユ)を対象とする条約の起草勧告決議等が採択された。
いわゆる「サボタージユ防止条約」草案は45年9月に開催される法律委員会で作成されることになつた。
ロ 第17回法律委員会
45年2月9日より3月11日までモントリオールで開催されたもので,その前半においてワルソー条約改正草案の起草,後半において民間航空機不法奪取防止に関する条約草案の起草がそれぞれ検討された。
ワルソー条約改正案の作成は,40年11月に米国が行なつた同条約の廃棄通告に端を発したもので,数年にわたる検討を経て今回の法律委員会において,同条約に定める責任原理の変更,責任限度額の増額等を内容とする条約改正草案が作成され,46年2月に開催される外交会議に提出されることとなつた 民間航空機の不法奪取防止に関する条約の作成については,最近頻発する民間航空機の不法奪取(いわゆるハイジヤツキング)が民間航空の安全に重大な脅威を与えていることにかんがみ,国際的にかかる不法行為の発生を防止しようとするもので,今回の法律委員会において作成された条約案は45年12月に開催される外交会議に提出されることとなつた。
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