2 日本航空(株)に対する助成


  日本航空(株)は前述のとおり昭和44年度にかなりの業績向上を示したが,今後同社はパシフイツクケースによる米国企業の攻勢,B-747型機就航による大量輸送時代の到来等により,ますます激化する国際競争に直面せざるを得ず,その企業環境には,きわめて厳しいものがある。このような事態に対処して,日本航空(株)が国際競争に伍し,国際航空界でその地位を高め,さらにわが国の国際収支に寄与していくためには,企業自ら経営基盤の強化に努めることはもちろん,政府が強力な助成措置を講ずる必要がある。政府は従来日本航空(株)に対し,出資を行なつているほか,債務保証,政府保有株の後配等の助成措置を講じているが,その状況は 〔III−19表〕のとおりである。

(1) 出資

  44年度には,日本航空(株)に対して32億2,900万円の政府出資を行ない,44年度末の政府出資額累計は193億4,000万円となつており,政府出資比率は50%となつている。
  今後日本航空(株)が激化する国際競争に対処してそのシエアを維持,拡大していくためには,B-747型機,US・SST等の新鋭機材の大量導入が必要であるが,これらの機材購入には,ぼう大な資金量を必要とする。しかし,これをすべて借入金および民間出資金によりまかなうと,日本航空(株)の資金コストはきわめて高いものになるので,政府としては今後とも出資その他の方法により資金援助を行ない,日本航空(株)の経営基盤の強化に資する必要があろう。

(2) 債務保証

  44年度には,国際線用機材(DC-8型機8機)の購入資金にあてるための米国輸出入銀行からの借入金107億円につき政府保証を行ない,同年度末までに日本航空(株)の借入金に対して行なつた債務保証の総額は450億円にのぼつている。また44年度には行なわなかつたが,政府は,これまで総額182億円にのぼる日本航空社債に対する債務保証を行なつており,45年3月末現在の残高は50億円である。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る