1 収支状況


  国内定期航空運送事業の最近数年間の利益率の推移は 〔III−20図〕のとおりであり,昭和41年度には当時の航空機事故続発等により売上高に対し9.2%もの経常損失を出したが,その後の航空選好の高まりにより急速な収益性の改善がみられ,44年度には19.2%の売上高経常利益率をあげるにいたつた。これは座席利用率が,42年度の62.2%,43年度の72.2%から44年度には76.0%へ大幅に向上し,その結果44年度の収入が42年度の74%増になつたのに対し,費用は58%の増加にとどまつたことによるものである。

  ここで,44年度の企業別の収支状況をみると, 〔III−17表〕および 〔III−21表〕のとおりである。

  日本航空(株)の国内線収入は,前年度比28%増の360億1,200万円をあげたのに対し,支出を同比25%増の259億500万円におさえ,101億700万円の経常利益を計上し,35%の増益を示した、売上高利益率が28.6%に達したことが注目されるが,これは同社の座席利用率がきわめて高水準にあるためである。
  幹線及び主要ローカル線を運営する全日本空輸(株)は,44年度にYS-11型5機,B-737型5機の購入及び幹線用機材として賃借中のB-727標準型(129人乗り)をB-727長胴型(178人乗り)にリプレースし,さらに同型機2機を賃借する等により,幹線において29%,ローカル線において46%の座席キロの増加を図つたが,年間旅客数が前年度より43.8%も増加したため,利用率は依然として高水準を保つている。
  この結果,営業収入は前年度比38.7%増の394億4,400万円,総収入は同比39.3%増の402億9,000万円となつたが支出が同比41.5%増の372億6,900万円となったため,経常利益は30億2,100万円にとどまつた。日本国内航空(株)は,YS-11型機によるローカル線および幹線夜間便の運航を行なうと同時に,B-727型機の日本航空(株)への賃貸およびヘリコプターによる航空機使用事業を行なっている.44年度には,YS-11型機を12機から15機に増機して座席キロを前年度比33.4%増加したことから,総収入は105億円と前年度に比べ33.6%の増収となり,支出が前年度比17.6%増にとどまつたので,29億1,500万円の経常利益をあげることができた。これは,はじめて経常利益をあげた前年度の約2倍に相当し,営業収入の11%にものぼる金利を負担しながら28.5%の売上高経常利益率を達成した結果によるもので,このことは,旅客人キロが前年度比46・7%増加したこと,座席利用率が前年度の65.9%から73.6%へ上昇したこと,ならびに単位あたり営業コストの低下により損益分岐点利用率を前年度の58・6%から54・5%へ引下げたこと等によるものである。同社では,41年5月の航空企業再編成に関する閣議了解の線に沿つて,46年度上期までに累積欠損を一掃する目標のもとに再建計画を実行しつつあるが,44年度の好決算の結果,累積欠損は24億5,200万円減少して28億5,100万円となり,計画を上回る速度で再建の道を歩みつつある。
  大阪以西のローカル線を運営する東亜航空(株)も,他社同様に需要の増加が大きかつたため,36.2%の増収となり,経常利益は前年度の2.5倍にあたる9億9,500万円をあげ,繰越損失3億9,400万円を解消することができた。
  以上のべたとおり,各社により程度の差異はあるものの,前年度を上回る需要の好調により,44年度は,前年度に引続き各社とも大幅な増収増益を記録している。


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