1 世界の航空輸送界における航空機の動向


  昭和44年12月末現在,ICAO加盟国の航空会社が使用している最大離陸重量9トン以上の航空機の総数は7,134機で,その内訳はターボ・ジェツト機3,449機(全体の48.3%),ターボ・プロツプ機1,495(同21.0%),ピストン・エンジン機2,190機(同30.7%)となつている。傾向としては,ターボ・ジエツト機が増加し,ピストン・エンジン機が減少する一方,ターボ・プロツプ機はあまり変化しないことがうかがえる。ターボ・ジエツト機のうち機数の多い主なものは,B-727(772機),B-707(665機),DC-9(539機)およびDC-8(506機)である。また,各種機材の有効トンキロからみた輸送力の割合は,機数において48.3%を占めるターボ・ジエツトが年間輸送力の90%を占めており,機数において51.7%を占めるターボ・プロツプ機およびピストン・エンジン機が残りの10%を提供しているに過ぎない。
  つぎに,44年における新しい機材の就航状況についてみると,ターボ・ジエツト機は567機(旅客機487機,貨物機70機,貨客両用機10機)の引き渡しが行なわれた。ターボ・ジエツト機のうち主なものはDC-9(119機),B-727(116機),B-737(114機)およびDC-8(85機)である。また,航空会社へ引き渡されたターボ・プロツプ機は145機(旅客機135機,貨物機10機)で,これらのほとんどが短距離用の機材で,ピストン・エンジン機を代替するものである。
  また,この年発注されたターボ・ジエツト機の数は合計345機で,うち旅客機が322機であつた。空の大量輸送時代をむかえて,大型旅客機に対する発注が著しく増加している。近距離大量輸送を担う,いわゆるエア・バスといわれるL-1011およびDC-10(旅客定員は約300名前後)に対する発注は,44年12月末現在で,それぞれ181機および104機におよんでいる。一方,44年12月末までに186機の発注があつたB-747は,同年中に4機の引き渡しが行なわれ,45年1月大西洋線に就航し,大量高速輸送時代の幕を開いた。


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