2 通訳案内等


  わが国を訪れた外客に日本に関する正しい知識を与え,誤つた先入観を取り除き,満足感を与えて帰国させることができるかは,その旅行につきそう通訳案内業者(ガイド)の資質と能力によるところが大きい。
  このような見地から,通訳案内業については,通訳案内業法により国家試験および免許制度が実施されている。国家試験合格者は, 〔IV−22表〕のとおり英語以外の合格者が非常に少なく,外客接遇上好ましくない状況になつている。

  ガイドの資質と能力は,国家試験の実施によつてかなりその水準が向上してきているが,この試験はガイド業務に従事するに必要な最低限度の資質と能力を確保するものであつて,実際に業務を行なうにはさらに広い知識と経験が要求される。このため,旅行あつ旋業者等関係者の協力のもとに新規合格者および就業ガイドに対する研修制度を充実する必要がある。
  ガイドの就業と収入の状況をみると,青少年等低廉な旅行を好む外客の来訪が増加していること等もあり,逐年必ずしも増加していない。
  また,ガイドの需要に季節的変動があり,年間を通じての安定した就業が困難となつており,就業者の約半数が副業ガイドと推定される。
  外客に対して,その国の産業および家庭生活を新しい観光対象として積極的に紹介する産業観光,およびホームビジツトが近年世界的に重視されてきており,国際親善に大きな役割を果たしている。
  産業観光の受入体制の整備の一環として,40年度から近代的産業703ヵ所,伝統的産業176カ所を掲載した「産業観光施設要覧」を作成して関係者の利用に供した。
  ホームビジツトの利用状況をみると,利用人員は昭和44年には2,244人と絶対数は未だ少ないが増加の傾向にある。
  今後受入家庭の組織化と運営の適正化を図り,この新しい観光方式を一層充実させていくことが必要である。


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