2 観光開発の基本的方向


  44年5月30日に閣議決定された新全国総合開発計画は,このような傾向に対処して,まず水泳,ヨット,モーターボート等の海洋性レクリエーシヨン需要に対しては,60年に全国で必要とされる海津線延長1,000qを整備するとともに,約10qに及ぶ人工海岸の造成を中心とする大規模海洋性レクリエーシヨン基地を数カ所建設する。また登山,ハイキング,スキー,スケート等の内陸性レクリエーシヨン需要に対しては,60年に必要とされる約500万haの自然観光地域のなかに,大規模かつ集中的に,水道電気等の施設利用が可能なキヤンプ場,ホテル,ゲレンデ等の施設の完備した自然観光レクリエーシヨン地区約5万haを整備することとしている。
  また,観光政策審議会は,将来の観光のあり方とその対応策を問うた諮問第9号に対して,第1次答申(44.4.17)に続いて,45年7月28日「望ましい観光の発展のために」と題する第2次答申を行なつた。
  第1次答申は,観光の現代的意義観光の将来,観光政策の方向につき,基礎的考察をし,第2次答申はこれを受けて,国民生活における望ましい観光の発展のためにとられるべき施策,手法につき述べたもので,その概要は次のとおりである。
 @ 増大する観光需要に備えて,自然,文化財の保護と調和をはかりつつ「よい観光地」を積極的に開発する必要がある。
 A それにはすぐれた自然景観,文化財をすべての人が享受できる観光レクリエーシヨン地区を整備する一方,魅力ある都市づくりにも努める必要がある。
 B 観光の利用者も供給者も観光の本質をよく理解し,観光資源の保護に努めるとともに,他に迷惑を及ぼすことのないよう留意すべきである。
 C 開発・管理のための費用調達には,利用者負担原則を導入しなければならないが,観光の基礎的要素の整備については,積極的に国家資金を投入しつつ,他方これらの施策推進のため,民間資金を有効に誘導するような施策を講ずる必要がある。
 D 観光開発に当つては,開発を許容すべきか否かの判断基準を作り,観光定員制を導入するとともに,地元住民の利益との調和をはかることが必要である。
  以上のように,第2次答申は自然,文化財等の保護と観光開発との諸問題につき,種々の提言を行なつている。これらは,今後の観光開発の基本的指針となるものである。


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