2 輸送方式の近代化


  わが国経済の拡大,国際化の進展にともなつて増大する輸出入貨物量の安定輸送の確保をはかるとともに,輸送の効率化により輸送費の節減を進めていくことは,わが国経済の高度安定成長,豊かな経済社会の建設にとつて,欠かすことができない。このため,国際貨物輸送の分野においても,わが国だけに限らず国際的な拡がりをもつて,物資別専用輸送,コンテナによる海陸空協同一貫輸送が進展しており,かつこれらを可能にするための港湾施設等の整備についての国際協力が進められている。

(1) 拡がる専用輸送

  輸出入貨物の専用輸送については,わが国の輸入物資の大宗を占める原油,鉄鉱石および石炭の輸入量は,原油1億7,123万トン,鉄鉱石1億209万トン,石炭5,017万トンで,前年に比べそれぞれ17.7%,22.6%,21.9%増加し,これら3品目の合計では3億2,349万トンに達し,わが国の輸入量の69.1%を占めている。これら原油,鉄鉱石および石炭の輸送について,油送船,鉄鉱石専用船および石炭専用船の拡充が大幅に進められている。また,自動車輸出の急増に対して,自動車専用船の整備がはかられている。しかも,これら専用船の船型は年々大型化している。
  わが国の外航船腹量は,46年3月末には2,259万総トンで,これを船種別にみると, 〔1−2−2表〕のとおり,総船腹量の増加の大半が油送船,鉄鉱石専用船をはじめとする専用船によつて占められている。

  また 〔1−2−3図〕のように船型の大型化が急速に進んでおり,これにともなつて輸入運賃も低下してきている。

(2) 進展するコンテナ輸送

  電気機器,事務機器,繊維製品,金属製品などの雑貨の輸送の面においては,包装の簡略化,荷姿の統一による荷役時間および経費の節減,専用輸送による大量,高速化等を可能にするコンテナ化が近年急速に進んでいる。
  世界のコンテナ化は,すでに世界の主要航路において,45年10月末現在166隻,249万重量トンのフルコンテナ船が就航しており,また,貨物専用機の就航は航空貨物輸送におけるコンテナ化を促進しており,さらに,海運,航空と結びついた国際コンテナ鉄道輸送も具体化に向つている。
  こうした国際コンテナ輸送の進展に対応して,わが国は46年8肩に,欧州内部におけるコンテナおよびコンテナ貨物の通関を容易にするための「コンテナ条約」および「TIR条約」に加盟した。
  外航海運におけるコンテナ化の進展は 〔1−2−2表〕のコンテナ船の拡充の状況でも明らかであり,さらに46年秋には日本・欧州航路にコンテナ積載個数1,840個,航海速力26ノツトのわが国のコンテナ船が投入される予定である。
  航空においても,ジヤンボ・ジエツト機の出現によつて,コンテナ化が促進されようとしている。
  45年のわが国の輸出入貿易におけるコンテナ化の状況は 〔1−2−4図〕のとおりで,輸出は23億4,267万ドル,輸入は9億9,764万ドルと,前年に比べ輸出で72.8%増と輸出総額の伸び20.8%を大幅に上回り,輸入では2.2倍と輸入総額の伸び25.7%を遥かに上回つて増加した。この結果,コンテナ化率は輸出12.1%,輸入5.3%と,前年のそれぞれ8.5%,3.0%から大きく上昇した。

  コンテナ貨物を商品別にみると,輸出ではラジオ,テレビ,テープレコーダーを中心とする機械機器,繊維および同製品,金属および同製品がコンテナによる輸出総額の約8割を占め,輸入では,事務用機械を中心にした機械機器,羊毛を中心とする繊維原料,因類,魚介類を中心とする食料品がコンテナによる輸入総額の約6割を占めている。

(3) 輸送施設整備への国際協力

  以上に述べた輸出入物資についての可動施設,輸送システムの近代化を支えるものともて,両端における港湾施設さらには内陸部の輸送施設の整備は欠かせないものがある。このため,わが国は,欧米先進国やアジア開発銀行等と協力して,東南アジアを中心とする発展途上国の港湾をはじめとする運輸施設の整備に開発援助を行なつており,またシベリアの資源開発に関連して日本とソ連が協力してウランゲル新港を建設するなどの国際協力を推進している。


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