2 45年度の施設整備状況


  40年度以降の公共事業費による道路,港湾,空港,鉄道(国鉄,地下鉄)の施設整備費の合計を,前年度比伸び率により国民総生産および政府固定資本形成と比べると 〔1−3−10図〕のとおりである。

  44年度までは国民総生産が一貫して高い伸びを続けているのに対し,政府固定資本形成の伸び率は横ばいないし下降気味であり,運輸関係施設整備費の伸び率は減少を続けた。これは,運輸部門については,基本的にはわが国の財政政策が民間経済活動の活況に対して警戒中立型の構造をとつてきたことによるのもで,社会資本整備の重要性を認識しつつも,財政政策の面でおのずから制約を有していたことを示している。45年度については,国民総生産が年度後半の景気後退を反映して40年度以降初めて前年度の伸び率を下回つたが,これに対して政府固定資本形成および運輸関係施設整備費は40,41年度当時の高い伸び率を示した。これは45年度の財政政策が「財政面から景気を刺激することのないよう,財政規模を適度のものにとどめる」という基本方針を堅持しつつも,「各種社会資本整備を着実に推進するため,財源を重点的に配分し量的充実を図つた」ことによるものである。
  45年度の部門別の施設整備状況は 〔1−3−11表〕のとおりで空港が前年度比69%増の大幅な投資増になつたのをはじめ,港湾,道路とも20%をこえる伸びを示したが,鉄道については2%増にとどまつた。

(1) 鉄道

 @ 国鉄の45年度における設備投資額は3,684億円で,前年度を2.2%下回つた。44年度からの財政再建計画は,53年度までの10年間に3兆7,000億円を限度とする設備投資を計画しており,45年度末における進捗率は,20.1%となつている。
  おもな整備内容は,
 イ 大都市通勤輸送対策工事として,線路増設・改良および停車場設備の増強
 ロ 新幹線工事として,山陽新幹線の建設,東海道新幹線の設備増強
 ハ 幹線輸送力増強工事として,線路増設・改良およびターミナル新設,改良(45年度末複線化率24%)
 ニ 合理化,近代化工事として電化工事(45年度末電化率29%),CTC化工事,自動信号化工事(45年度末自動信号化率43%),踏切保安工事等
 ホ 45年度中の新造車両数4,222両(44年度7,612両)うち貨車は3,070両(44年度6,200両)
 などであり,新幹線工事費が前年度比23.5%増を示したほかは,各工事費とも前年度を下回つている。
 A 鉄道建設公団は,45年度において797億円の投資を行ない,部分開業,全線開業あわせて鹿島線ほか4線区85kmが開業に至り,さらに東京外環状線(武蔵野線,小金線,京葉線),湖西線等56線区の建設を行なつている。
 B 地下鉄の45年度における投資額は,公営地下鉄および帝都高速度交通営団の合計で1,301億円であつた。最近の開業路線は東京において営団地下鉄千代田線で4.8km,名古屋において市営2号線で6.0kmが完成した。
  東京,大阪については50年,名古屋,横浜,神戸については60年を目標年次とする必要高速鉄道網が都市交通審議会によつて答申されており(必要路線606.6km,現況236.9km),この答申に沿つて,工事が引き続き進められている。なお,建設コスト上昇に伴う採算悪化対策として,45年度から地下高速鉄道建設費の補助率が44年度以降建設分について10.5%から50%に引き上げられた。

(2) 港湾

  第3次港湾整備5カ年計画の第3年目を迎えた45年度の投資額は,2,018億円と前年度に比べ21.0%の増加を示した。
  外貿港湾は,前年度に比べ26.4%増となつており,これは東京,横浜,大阪,神戸などのコンテナふ頭の整備(外貿埠頭公団による)を含めた主要外国貿易港湾の整備を行なうもので,コンテナふ頭については45年度末現在で6バースの供用が開始されている。さらに産業港湾は前年度に比べ45.9%増の伸びとなつている。産業港湾整備は,新産業都市,工業整備特別地域等における臨海工業地帯開発について,鹿島,苫小牧,新潟,秋田,伏木富山などの諸港の整備が行なわれた。

(3) 空港

  空港施設整備費は517億円と前年度に比べ69.0%増の大幅な増加を示した。これは,新東京国際空港建設工事の本格化によるもので,空港整備5カ年計画による一般空港整備費は,前年度に比べ39.1%の増加となつている。新東京国際空港は45年度末で民有地の用地買収が98%完了し,空港建設工事についても滑走路および誘導路の舗装工事,ターミナルビルおよび管理棟の建設工事に着工しており,47年度上半期の供用開始を目ざしている。

(4) 道路

  45年度は第6次道路整備5カ年計画の初年度にあたり,道路整備費は1兆5,177億円で前年度に比べ22.4%の増加と41年度以来の高い伸びとなつた。これは,地方財政の好転による地方単独事業の伸びが38.2%であつたことによるところが大きく,一般道路有料道路についても堅調な伸びを示した。有料道路のうち高速自動車国道については,44年度中に東名高速道路の全線,万国博関連としての中国縦貫自動車道,近畿自動車道の一部が新たに供用され,45年度からは東北縦貫道等5道(東北縦貫,中央,北陸,中国縦貫,九州)の建設に重点が移つている。


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