第1節 大都市の旅客輸送急激な都市化の進展により,首都交通圏,京阪神交通圏への人口集中は,45年には全国人口の約36%に達している。 増大する都市圏の人口は,周辺部に定着するものが多く,都心部は事業所化し,夜間人口が減少傾向を示して,いわゆるドーナツ化現象を生じている。これを首都圏の例でみると, 〔2−2−3図〕のとおりであるが,これは,大都市に集中した人口が住宅の確保にあたつて地価の高とうによる用地取得の困難と生活環境の悪化を避けて郊外部をめざさざるをえない状況から引き起こされてきたものである。
![]()
居住地の郊外拡散による住居と就業・就学地との分離は,この間を結ぶ通勤通学輸送需要の増大を招き,通勤・通学距離の長距離化とあいまつて深刻な通勤・通学難を生じている。さらに,近年においては郊外部における大規模住宅団地の造成が交通に対する十分な配慮のないままに進行し,住民の足の確保に関して独自の問題が生じている。
|