2 都心部と郊外部を結ぶ輸送


  都市のスプロール的拡大に伴つて,通勤・通学距離はますます長距離化する傾向をみせており,輸送需要の増大によるラツシユ時の混雑とあいまつて深刻な通勤・通学難を生じている。
  通勤・通学輸送を中心とする輸送需要の増加に対し,国鉄は財政再建計画の一環として,また,大手私鉄は第3次輸送力増強計画により,東京,大阪を中心として,新線建設,線増,地下鉄との相互乗入れ,長編成化,増便等により輸送力の増強を図つている。
  これらの投資により,国鉄,私鉄のラツシユ時の混雑は 〔2−2−12表〕のとおり,なお定員の2倍以上であるが徐々に緩和されている。

  都心部と郊外部を結ぶ鉄道においては,近年,通勤・通学輸送の比重が高まつており,そのため輸送需要のかたよりが大きくなつている。 〔2−2−13図〕は京阪電鉄京阪本線の例で乗客の時間帯による波動を示したものである。大阪の代表的なオフイス街に立地する淀屋橋駅で1日に降車する人員の47%が朝の8時から10時までの2時間に,大阪のベツドダウンともいえる香里園駅で1日に降車する人員の36%が夕方の17時から20時までの3時間に集中しており,完全に片荷輸送の状態となつている。

  都心部と郊外部を結ぶ道路は自動車の増加に伴つて年々混雑が激化しており,放射状道路の郊外部においては都心部以上に渋滞の発生が目立つている。
  また,大都市の平面街路の交通混雑を緩和するために,東京および大阪において都市高速道路が建設され,東京地区においては 〔2−2−14表〕のように,45年3月末までに延長71.3kmに達している。しかし,利用車両の増加は著しく,一部では慢性的な渋滞が発生するようになつている。


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